2021.04.08 【エアコン特集】コロナ禍で空気質に関心最新モデルへ買い替え進む

エアコン商戦では夏本番に向け、今の時期から早期点検、前倒しの買い替え提案が重要な時期となる

 ルームエアコンは、このところ順調に需要が伸びている。特にコロナ禍の中、空気質への関心が高まることで、最新モデルへの買い替えが進んだ。21年度は引き続き20年度並みの需要になるかは不透明だが、コロナ禍で高まった空気質への関心は長く続くと見られ、ルームエアコンに対する強いニーズは変わらないと見られる。

 新型コロナウイルス感染症拡大で、在宅時間が増えたことは、多くのユーザーの生活スタイルに変化を及ぼし、室内の清潔、空気質への関心を高めることになった。

 エアコン各社は、ユーザーの空気質への敏感なニーズに対応して、エアコン内部の除菌・脱臭など清潔性を高めた機能開発を強力に進めている。一方で、省エネかつ快適な温湿度環境を整えるほかIoT機能搭載など、空調機としての本質性能を21年モデルにおいて、より磨きをかけ臨んでいる。

 コロナ禍で在宅時間が伸びたことは、エアコンの使用時間も伸びることになり、省エネについて、ユーザーはより一層認識を改めることになった。

 ルームエアコンの買い替えが進んだ一つの理由には、この経済性の問題があったと思われる。

 10年前と比較して最新モデルの消費電力は、約5%の省エネ(資源エネルギー庁ホームページ)など、最新モデルへの買い替えが家計にもやさしいことを訴え、買い替え需要の顕在化を図ることが重要となる。

 特に省エネ性能については、よりフラッグシップモデルのほうが、APF(通年エネルギー消費効率)が高く、業界としてはフラッグシップの提案に力を入れることが重要となる。

 またエアコン内部の清潔性について、フィルター自動清掃機能の重要さも改めて訴求すべきポイントとなる。フィルターの目詰まりで消費電力が高まることも、改めて訴求すべきところだろう。

 フィルターの目を通過した細かなほこりがエアコン内部に付着することで、風量が大幅に低下、シャープの試算では、目詰まりを放っておくと20%強の電気代が増加(4.0kW機種の場合、金額で2万2000円以上)するという。

 内部の清潔性の維持は各社が力を入れるところで、フィルターの自動清掃をはじめ、熱交換器の自動洗浄など、工夫を凝らしている。

市場動向

 ルームエアコン市場は2020年(暦年)の出荷台数は過去最高のペースとなった。

 日本冷凍空調工業会のまとめによると、21年2月単月のルームエアコン出荷台数は、前年比16.2%増と大きく伸び、5カ月連続のプラスで推移した。

 20年(暦年)累計は、前年比0.6%増の986万9000台と5年連続の成長で、72年以降、過去最高の出荷数量を記録している。

 このところ、地球温暖化の影響もあってか、夏場の気温は上昇傾向にあり、酷暑の夏が続いている。

 長梅雨などの影響を受けた年もあったが、その後の残暑・酷暑で需要が持ち直すなど、総じて夏場の商戦は活況が続いていた。

 今年も夏場は厳しい暑さが予想されている。エアコン市場規模は、さすがに20年度を上回るのは難しいかもしれないが、それでも年度を通して900万台を上回る需要は十分に予想できる。

 市場では買い替え需要がピークを迎えていることや在宅時間の増加で、リビング以外にも寝室、子供部屋をはじめ各部屋普及が進むとみられること。さらに清潔機能の強化など、ユーザーニーズに応える商品開発が活発なことなどから、買い替え需要を顕在化させる要因は多いとみられる。

 コロナ禍はまだ継続しており、全国的に第4波の到来も懸念されるところだ。改めて在宅の機会が増えることで、ユーザーは依然として室内環境には高い関心をもちそうだ。

 現在メーカー各社が提案するフラッグシップモデルの21年モデルでは、快適暖房性能をはじめ、内部クリーン、除菌・脱臭機能搭載、さらには換気性能搭載に至るまで、室内の清潔性向上につながる特長をしっかり搭載している。

 本格的な暑さが到来する前に、これらフラッグシップモデルをじっくり説明する余裕がこの時期にはある。エアコン早期点検も絡めながら、前倒しの商戦展開がより重要だ。

熱中症対策が重要に 早期点検、買い替え提案を

 コロナ禍の影響で在宅時間が伸びることで、熱中症対策がより重要な意味を持つことになる。この点からも、エアコン早期点検活動が重要となる。

 厚生労働省は「新しい生活様式」における熱中症予防ポイントについて公開している。特に高齢者などに対して、適切な熱中症対策の重要性を呼び掛けている。

 エアコンの使用については、活用の有効性を説きつつ、新型コロナウイルス対策のためには、冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う必要がある。換気により室内温度が高くなりがちになるため、エアコンの温度設定を下げるなどの調整を呼び掛けている。

 また同じ機種を10年以上使用していたり、エアコンの不調を訴えたりするユーザーに対しては、買い替え提案が求められる。

 夏本番で買い替えとなると、販売店もすぐには対応できないため、余裕のあるこの時期から検討してもらうよう働きかけることが重要だ。