2021.05.10 経団連新会長に三友化学会長の十倉氏中西氏は病気療養で辞任

 経団連は10日、中西宏明会長(日立製作所会長)が任期途中で辞任し、後任に住友化学の十倉雅和会長が6月1日付で就任すると発表した。中西氏は昨年7月にリンパ腫が再発して入院中で、治療に専念したいという本人からの申し出があった。十倉氏の任期は2期4年。

 中西氏は、2018年5月に経団連の第14代会長に就いた。任期は22年の通常総会までで、6月の定時総会で退任する。途中交代は、02年に旧経団連と日本経営者団体連盟(日経連)が統合して以来初めてという。

 十倉氏は現在、経団連の審議員会副議長で、15年から19年まで副会長を務めた。気候変動への対応やデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)が世界的な潮流となる中で、中西氏は両問題への取り組みに熱心な住友化学を評価し、十倉氏を候補者の中から指名した。

 中西氏は、18年秋に経団連が主導する「就職・採用活動ルール」を廃止。デジタル革新を社会課題の解決や価値創造につなげる「Society5.0」の推進も提唱した。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で昨年11月には、感染症終息後のポストコロナを視野に「DXを通じた新たな成長」や「グリーン成長の実現」などを柱とする新成長戦略を提言。この中で、多様なステークホルダー(利害関係者)と持続可能な資本主義を追求する必要性を強調した。30年度の温室効果ガスを13年度比46%削減するという政府の新目標を経済界として支えることにも意欲を示していた。