2021.05.14 複合機各社 いつでもどこでも働ける環境提供ニューノーマル対応のソリューションに力

スマホが複合機の操作画面に

 複合機各社が、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)や働き方改革など、ニューノーマルにフォーカスしたソリューション提案を活発化。コロナ禍でオフィス離れが進む一方、〝いつでも、どこでも働ける環境〟に対応したソリューションが注目を集める。スマートフォンが複合機の操作画面になるといった利便性の一段の向上や、紙の電子化に対応したドキュメントソリューションが新たな価値提案につながっている。

 リコーは「デジタルサービスの会社」への転換を加速させている。象徴的なものの一つが、国内販売会社のリコージャパンが販売する中小企業向け業種業務ソリューションパッケージ「スクラムパッケージ」だ。従来の個別の製品・サービスによる断片的な業務改善提案ではなく、お客の業務フロー全体を捉えた提案が特徴。「大規模なIT投資ではなく、必要なアイテムの組み合わせで導入」(同社)できる。

 17年10月に販売を開始し、先ごろ累計販売数が14万本を突破。3月単月では1万本を販売した。同社は「新型コロナの感染拡大を抑制するため、各企業がテレワークや在宅勤務などの環境整備を進めてきたことが販売拡大につながっている」と分析する。中堅企業向けにSEがカスタマイズして提案する「スクラムアセット」も好評だ。

 新体制の富士フイルムビジネスイノベーションは、デザインを一新してセキュリティー機能を強化した新ブランド「Apeos(アペオス)」製品を4月から提供しており、新ブランドを通じて、企業のDXを支援する。同社は、全国のセブン-イレブン店頭にあるマルチコピー機を利用した「ネットプリントサービス」で需要を拡大。在宅勤務をはじめとした新たな働き方を支援するソリューションの販売も順調だ。

 電子文書を紙文書と同じような操作性で扱えるドキュメント・ハンドリングソフト「DocuWorks(ドキュワークス)」は、国内外で累計777万ライセンスを販売。安全・快適にテレワークが行える個室型ワークスペース「CocoDesk(ココデスク)」の利用も増えている。

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、ニューノーマルのワークスタイルに貢献するトータルプリンティングサービスを強化。ITソリューションと連動するデバイス戦略も強め、シナジー効果を高めている。センターオフィス、サテライトオフィス、ホームをクラウドで連携し、場所を選ばないドキュメントの活用を支援する。

 中小企業向けには、IT保守・運用を行う中小オフィス向けIT支援サービス「HOME」を提供。20年の契約件数約11万件を、23年には約16万件に持っていく計画だ。

 エプソン販売は、プリントやコピーの使用状況に合わせてプランや機器を選べる「スマートチャージ」に力を入れる。文教市場を対象に展開している「アカデミックプラン」は、先生たちの働き方改革を支援するだけでなく、生徒の学びの向上などが評価され、好調。文教市場に加え、医療現場にもスマートチャージを提案。病院など医療現場の課題に応えていく。

 コニカミノルタは、新ビジョンステートメント「Imaging to the People」の下、「as a Service(アズ ア サービス)」モデルで顧客価値を提供する。先ごろ、マイクロソフトと企業のDXで連携した。販売会社のコニカミノルタジャパンでは、自社実践による働き方改革「いいじかん設計」が評判。

 東芝テックは、複合機とクラウドサービスの連携やスキャン機能、OCR機能を強化している。ブラザー販売は、業務の課題解決を支援するソリューションに力を注ぐ。