2021.06.21 【電波時評】IT時代の〝ガマの油〟

 20世紀末に出版されたIT関連書の中に「Silicon Snake Oil」(邦題「インターネットはからっぽの洞窟」、倉骨彰訳、草思社刊」という変わった題名のものがある。蛇の油は怪しげな欧米の万能塗り薬。日本語で「シリコン製のガマの油」とでも訳せるだろうか。

 著者は、天文物理学者のクリフォード・ストール。1986年に、システム管理者をしていた米ローレンスバークレー研究所のシステムを経由して軍のサーバーに侵入を繰り返すハッカー...  (つづく)