2021.06.29 【複合機・プリンターソリューション特集】MPS出力環境の見える化などアフターコロナを見据える
セキュリティー、ガバナンスを強化したオフィス環境が求められている
新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受けていたマネージドプリントサービス(MPS)も、着実に市場が回復してきた。
オフィスに人が戻りつつあることも復調の要因となっているほか、働き方改革やセキュリティー、ガバナンスなどの面からもオフィスのIT環境、プリンティング環境の見直しが求められている。アフターコロナを見据え、MPS市場が注目される。
MPSは、各部門や事業所ごとに個別に運用してきたオフィスの出力環境を一元管理し、ライフサイクル(機器の選定・運用・廃棄)の全てに関するコストとプロセスをマネージメントするもの。オフィスでのプリンティングなど出力環境を見直し、最適な出力環境を構築、運用するアウトソーシングサービスだ。欧米など海外では早くから普及してきた。日本国内でも2桁成長を続けていたが、昨年来のコロナ禍でオフィス環境が一変し、企業のプリントボリュームも減少。MPS市場も鈍化が避けられなかった。
MPS市場で国内トップシェアの富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)の小松誠エンタープライズドキュメントソリューション事業本部サービス推進グループ統括グループ長は「新型コロナウイルスの感染拡大で、オフィスのプリント枚数が減少するなどMPS市場も影響を受けたが、徐々に回復してきている。今後はアフターコロナを見据え、IT環境が複雑化する中でオフィスのIT環境を整備し、総合的にパフォーマンスを上げていくニーズは高まる」と分析する。
同社では4月からMPSの新サービス「MPS Guardia(ガルディア)」を提供している。MPS Guardiaは、出力状況を可視化して最適な出力環境を提案する。「継続的な改善活動を通じて、コストの最適化とセキュアな環境の維持を目指している」と小松統括グループ長。
企業の「出力に関するコスト管理ができていない」「セキュリティー対策に不安がある」「出力機器管理の手間を省きたい」「働き方改革に対応できていない」といった課題に対して、「経営環境の継続的な変化に耐える柔軟なインフラの導入、課題の抽出などにより、継続的なサイクルの構築」などを支援する。
IT環境がますます複雑化する中、いかにTCO(トータルコスト・オブ・オーナーシップ)を下げていくのか。小松統括グループ長は「出力環境を見える化し、ガバナンスやセキュリティー環境を強化していくことが、ニューノーマル時代に求められている」と話している。
リコー、キヤノン、コニカミノルタ、東芝テックなど各社もMPSに力を入れている。リコーは「コスト削減および生産性向上」を目的に、オフィスにおけるコピーやプリンターなどの出力環境の改善と運用管理をトータルでサポートする。専門家の視点で現状を可視化し、問題点・課題を抽出。最適化設計、構築、さらに機器のライフサイクルにおけるコストの推移などトータルに提案する。
キヤノンは、全世界共通のマネージドサービス「キヤノンマネージドドキュメントサービス」を提供している。国内販社のキヤノンマーケティングジャパンでは、企業の業務を受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に注力していく。
コニカミノルタは、出力環境最適化サービス「コニカミノルタOPS」を全世界で提供する。
東芝テックは、東芝グループへのMPS導入で成果を上げてきているが、今後はグループ外への展開も検討を行う。