2021.07.28 三菱電機の新社長に漆間専務検査不正で引責の杉山氏は28日付で辞任

漆間 新社長

 三菱電機は28日、臨時取締役会を開き、検査不正など一連の問題で辞意を表明していた杉山武史社長が同日付で正式に辞任し、後任に漆間啓専務執行役が就任する人事を決めたと発表した。同日午後に東京都内で記者会見を開き、新体制について説明した。

 杉山氏は先に、検査不正の把握状況などを説明する記者会見を開いた際、「鉄道車両用空調装置等の問題をはじめとした近年の当社グループにおける品質問題、労務問題、不正アクセスによる情報流出問題等を厳粛に受け止め、社長の職を辞する」と表明していた。

 新社長に就いた漆間氏は早稲田大学商学部卒。62歳。FAシステム業務部長、国際本部欧州代表などを経て、2018年4月から専務執行役。現在は輸出管理・経営企画・関係会社担当などの専務執行役を務めている。

 また、永澤淳専務執行役は代表権のある専務執行役となった。役員体制を見直し、ガバナンスを強化する狙いがあるとみられる。永澤氏は慶応大学法学部卒。61歳。事業推進部長などを歴任した。今回、ほかにも役員の担務変更などが決められた。

 三菱電機は今月、社外の弁護士らによる調査委員会を設置し、調査を行っている。委員会では9月に調査結果をまとめ、再発防止策などを打ち出す見込み。委員会や同社は、不正を自主的に申告した場合は処分をしない方針を示すなど、問題の総点検を進める構えとされる。

 不正調査や再発防止など会社の体制立て直しは、漆間新社長に引き継がれる形になる。同社は「新たな体制の下、一連の品質不適切行為の真因を究明するとともに企業風土改革を推進し、ステークホルダーの皆さまからの信頼回復を果たせるよう努めてまいります」としている。

 同社の先の発表によれば、長崎製作所で不適切な検査が行われた可能性のあるのは、ブレーキなどに関わる空気圧縮機では15年間の出荷分で約20社向け、約1500台。空調設備では1985~2020年の出荷分で約80社向け、約8万4600台。納入先と約束した検査を勝手に省略して別のデータで代替するなどしていたという。問題があった台数などの全容把握が進んでおり、台数は膨らむ可能性もある。