2021.07.29 【半導体/エレ商社特集】菱洋エレクトロ新しい事業の柱を創出めざす
中村 社長
菱洋エレクトロは「半導体・デバイス」と「ICT・ソリューション」を主要事業領域とする。中村守孝社長は2018年4月の就任以降、「Only RYOYOへの挑戦」などを掲げ、自ら陣頭に立って徹底した経営改革を進めてきた。20年1月期に大幅な増収増益を収めたものの、直後に新型コロナの感染が世界に広がり市場環境は急変した。
中村社長は「この3年間、さまざまな社内改革に取り組んできたが、コロナによって当社の脆弱(ぜいじゃく)な課題がより明確になった。改めて顧客密着をさらに徹底し、課題を解決していきたい。同時に既存事業だけでは今後の成長は望めず、新たな事業の柱の創出による中長期の成長戦略を打ち出す。そのためにはM&Aも視野に入れる」と方向を示す。
5GやEV化の進展により、業界全体で半導体の動きは好調だが、一方で品不足が深刻化。「半導体は調達が大きな課題で、顧客に迷惑を掛けないためにも製品確保に全力を挙げている」(中村社長)。
同社は2月に創立60周年を迎えた。「創立以来初めて」という社内報を発行し、社員のインタビューや国内外拠点の活動などを伝えている。風通しの良い企業風土づくりと、テレワークで疎遠になりがちな社員のコミュニケーションを深める取り組みの一つとして今後も続けていく。
企業改革の一環で20年2月に連結子会社化した、SI事業や情報システム業務の受託開発などを展開しているスタイルズ(東京都千代田区)との技術シナジーの効果が順調に上がってきている。
また、成長分野の一つに医療を掲げ、10月までに開始されるマイナンバーカードの健康保険証利用サービスの導入を支援する、システムベンダーに向けた「オンライン資格確認導入支援サービス」の提供を開始した。
中村社長は「顧客が本当に求めているものは何かを把握し、ソリューションビジネスをさらに深化することが重要。新たな事業の柱を立ち上げ、営業力を強化して23年1月期に売上高1100億円、営業利益30億円を達成することが、当社の大きなターニングポイントになる」と語る。