2021.08.25 AIを活用し顧客のビジネス支援リコー、コニカミノルタなどが新サービス

 人工知能(AI)を使ってビジネスを支援する事例が増えてきた。リコーは、顧客企業の固有の各種データをAIで自然言語処理し、業務の効率化や新規ビジネスにつなげるサービスを開始。コニカミノルタは、AIデータ予測クラウドサービスを今月末から提供する。AIは、実証段階から実装段階へと流れが加速している。

顧客データを自然言語処理

 リコーは、顧客企業の許諾を得て固有の情報資産(文書や映像、画像、音声などの各種データ)を自然言語処理AIで分析し、業務の効率化や新たな価値の創造を支援する新サービス「仕事のAI」の提供を開始した。

 第1弾として、食品業界の大手・中堅企業向けに「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」を7月中旬から販売している。コールセンターやヘルプデスクに集まる膨大な問い合わせ情報(VOC)を自然言語処理AIで分析し、重要度順に表示。迅速な顧客対応や品質改善によるリスク低減などへの貢献を目指す。

 今後、さまざまな業種業務に対応したサービスを追加し、大手・中堅企業だけでなく中小企業までの幅広い企業向けにラインアップを拡充する計画。新サービス「仕事のAI」事業で、2025年に売上高100億円の規模を見込む。リコージャパンの坂主智弘社長は「お客さまのドキュメントを利活用し、業務の代替と価値創造を支援していく」と話している。

クラウドで需要予測を提供

 コニカミノルタジャパンは、小売店が行う在庫管理や発注業務、販促業務の効率化・高度化に向け、AIを活用した需要予測を提供するクラウドサービス「AIsee(アイシー) powered by CJ-DMP」を8月末に発売。機械学習(マシンラーニング)やプログラミングといった専門スキルがなくても、自社データを蓄積するだけで予測モデルを自動的に構築できるのが特徴だ。「属人的な業務をAIが自動化し、中小小売業の経営的な課題解決を支援していく」(同社)。

 AIseeは機械学習の技術を用いて、POSによる購買データや顧客データ、商品データ、販促イベントと気象などの外部データから「在庫予測」「販売予測」「来場者予測」など、顧客の将来の需要を予測する。将来的には、データアナリストによる「データ分析」メニューの提供、他システムとの連携機能、データのアライアンス化(共有)など、AIseeをさらに進化させる方針だ。

感情推定技術を活用

 OKIは日本サブウェイ(東京都品川区)と組み、OKIの「AIを用いた感情推定技術」を活用する「提案型注文システム」の実証実験を今月上旬に行った。同社の感情AI技術の一つ「興味・関心推定技術」を使用し、セルフ注文端末のカメラから得た表情データと視線センサーから得た視線データを基に、独自のアルゴリズムで「オススメ」メニューを提案してお客の注文をサポートした。「非接触対応を実現することにより、ウィズコロナ時代の新しい接客サービスを目指している」(同社)。

導入効果は25年までに11兆円

 AIは、実証段階から実装段階に移ってきた。特に中小企業などではIT人材も不足しIT化が遅れている。経済産業省は、中小企業のAI導入による推定効果を、25年までに11兆円と試算。AI技術の利活用が期待されている。