2021.09.21 多摩川水系に再エネPR館 東京都、水力発電など紹介
オープンを待つ再生可能エネルギーPR館の館内。大型モニターが設置されている
コロナ禍で開館日未定
愛称は一般公募
東京都交通局は、多摩川水系上流の東京都奥多摩町に「再生可能エネルギーPR館」を開設する。同水系には昔から利用されてきた再エネの一つ、水力発電の設備が集まっており、同館でも水力発電所を中心に紹介する。長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響でオープン日程の先延ばしが続いているが、都は今秋の開館を目指し、施設の愛称を一般公募している。
PR館ができたのは、白丸発電所(奥多摩町)が併設する白丸調整池ダムの近く。多摩川に水を流すためにダムのゲート操作などを行う「監視場」を老朽化で建て替えたのに合わせ、3階建て施設の3階フロアをPR館として整備した。
2020年10月に施設は完成。同年秋に開館を予定していたが、コロナ禍でオープンを見送った。今秋を目指しつつも「まだ様子見の状態」(東京都交通局)が続いている。
多摩川水系には、奥多摩湖(奥多摩町)から流れ出た水を活用して、白丸から約6キロメートル上流の多摩川第一(同)や、白丸から約5キロメートル下流の多摩川第三(同青梅市)といった、都が管理する大規模な水力発電所が集中する。そのため、都の再エネをPRする施設にふさわしいとして、水系沿いに立地が決まった。
都で初めてとなる水力発電所(多摩川第一)を1957年12月に開設して以来、前身の部署が火力発電所を担当していた都交通局が、都営の地下鉄やバスの運営などの業務と並んで水力発電所の管理を担っている。発電した電力は、都内の都営バスの事業所などに供給するほか、今年度から電力小売り事業者に一括して販売を始めた。
PR館に近い白丸発電所は、土壌の中に設置された設備。白丸調整池ダムから取り込んだ水を流して発電機を回し、川に戻す。最大出力は1100kWで、年間約300万kWh程度の発電量という。多摩川第三でも、白丸調整池ダムから長い配管を通して取水し発電する。こうした仕組みを同館で紹介する。
館内には、中心に大型モニター(高さ1.7×幅3.5メートル)を設置。水力発電の構造や奥多摩地域の豊かな自然などを映像で流す。このほか、太陽光発電や風力発電の仕組みなど六つのテーマで展示する。入館は無料(予定)。
施設の屋根部分には太陽光パネルを設置し、発電した電力を施設内で自家消費している。愛称の募集は9月30日まで。都交通局のホームページなどから応募できる。都民以外も可。
都交通局は「PR館では、都内でも自然の恵みを活用して再エネ電力をつくっていることを広く知ってもらいたい。愛着が持てるなじみやすい愛称を付けてほしい」としている。