2021.10.05 【ルームエアコン特集】室内の清潔・快適ニーズ高まる、コロナ禍で健康・清潔性を重視

依然として高水準の需要が見込めるルームエアコン。清潔・快適・省エネニーズがコロナ禍前より高まっている依然として高水準の需要が見込めるルームエアコン。清潔・快適・省エネニーズがコロナ禍前より高まっている

 ルームエアコンは、コロナ禍で室内の空気質への関心が高まる中、清潔・快適・省エネを特長とした商品戦略がコロナ禍前より加速している。2021年度モデルの発表が各社から始まっているが、IoT対応をはじめ内部クリーン機能の進化や換気機能の搭載など、最新の技術を盛り込んで市場ニーズに対応している。

 今年の夏は天候不順・冷夏の影響に加え、昨年度が高水準で推移した反動もあって需要が伸び悩み、6~8月は連続して前年マイナスの出荷台数となった(日本冷凍空調工業会調べ)。

 それでも、市場は17年度以降、毎年900万台を上回る高水準で推移しており、ルームエアコンについては、買い替え、買い増し需要がこのところ顕在化している。

■寒冷地域での普及が急速に進む

 併せてルームエアコンの暖房能力の向上を背景に、寒冷地域への普及が急速に進んでおり、基礎需要を押し上げている。

 昨年度の場合は、コロナ禍で在宅時間が伸びたこともあり、室内の清潔・快適へのニーズが強まったことも関係して、エアコン業界としては初の1000万台超えの出荷台数を記録した。

 巣ごもりで清潔・快適志向が高まり、特に室内空気質に対して関心が高まったことから、史上最高の出荷台数を記録した。

 今期も各社から快適、清潔、省エネなど、最新フラッグシップモデルを中心に、高級タイプへの買い替えが進みそうだ。

■900万台以上の高水準が続く見通し

 ルームエアコンの需要は、今期は夏場の不振で、昨年度の1000万台超えのような大きな需要は見込めないが、依然として900万台以上の高水準が続く見通しだ。

 現在、緊急事態宣言などが解除されたことで、暮らしや経済活動が徐々に通常のペースに戻りつつあるとはいえ、コロナ禍で高まった健康、清潔意識の高まりは、もう以前のような水準に戻ることはないと言われている。

 ルームエアコンに対しても、ユーザーが求めるものは経済性より清潔や省エネ、快適へのニーズが高まっている。

 パナソニックでは、同社の高級機購入者における購入時の重視ポイントの経年変化を調べた。それによると、17年には「フィルター自動お掃除」「電気代が安い」「購入価格」が上位三つに挙がったが、20年になると「フィルター自動お掃除」「電気代が安い」に次いで、「内部防カビ・除菌・脱臭」が上位三つに挙がる変化を見せ、購入価格は5番目の重視ポイントに下がった。

■変化するニーズ

 コロナ禍で、価格よりも清潔や省エネ、快適性能がエアコン購入時の重視ポイントになるなど、ユーザーのエアコンに求めるニーズが変化している。

 巣ごもりで在宅時間が増えたことで、室内の清潔、快適に関心が高まる一方、同社の調査によるとエアコン運転時間も前年より約1時間伸びていることが判明(同社エアコンログデータ分析)。運転時間の長期化は、省エネへの関心も同時に加速させる。

 併せて、同社は「屋内の空気質に対しての重要度は、この一年で従来と比べどう変化したか」をユーザーに聞いたところ、65%以上が「ここ一年で重要になった」と答えたという。こうしたことから、従来に増してルームエアコンには清潔、快適、省エネが重要視され、この傾向は今後も継続するとみられる。

 各社から投入されるフラッグシップモデルをはじめ最新モデルでは、この点を重視した機能向上に力を入れている。

■衛生面に配慮した機能開発も活発

 各社の最新フラッグシップモデルについては、フィルターの自動清掃機能や、熱交換器の自動洗浄機能、強力なイオン発生機能による除菌・抗菌機能、空気清浄機能など、衛生面に配慮した機能開発も活発だ。

 また、ダイキン工業が先行していた換気機能の搭載については、パナソニックも新たに21年モデルのエオリアに搭載するなど、空気質を考えた商品戦略も強まっている。

 さらに、人工知能(AI)やIoT技術、センシング技術を組み合わせた最適な快適、省エネ制御など、昨今のユーザーニーズをくみ取った機能開発が活発となっている。