2021.11.29 100年の歴史を持つ港から電動船普及へEV船販売が旧堺港に基地を設置

自律運転で接岸する電動船には非接触充電を搭載

 100年の歴史を持つ大阪・旧堺港から電動船、給電施設の普及の動きがスタートした。EV船販売 (東京都中央区)はこのほど、堺市の旧堺港にあるクリエイションマリーナに「ゼロエミッション・マリーナ」基地を設置した。太陽光パネルで作った電気を蓄電池に貯めて、非接触充電器で電動船に送る仕組み。来年度は風力発電と組み合わせることで、より安定的な電源供給を目指す。非接触充電方式は国内で初の試み。

 同マリーナでは、屋根に搭載した16枚のトリナ・ソーラー製のソーラーパネルによって創られた電力を同社製のリチウムイオンバッテリーに蓄電。必要に応じて船舶への充電をダイヘンの非接触充電器で行う。

 3~4人乗りの小型電動船は3台を用意。うち1台には、ロボット企業のエイトノットの自律航行システムや非接触充電ユニットを搭載した。電動モーターを動力とする推進器ユニットなどはヤマハ発動機の操船システム「ハルモ」を採用した。

 今後は水の抵抗や消費電力が少ない水中翼電動小型ボートの開発を目指すほか、風力発電も設置し、安定供給を目指す。

 工藤清人社長は「自治体などへ働きかけ、ゼロエミッション・マリーナの普及を目指す。電動船は、旅客船、プレジャー以外にも湾内を清掃する自動清掃船や貨物船にも活用できる。実証を進めて、全国にある400のマリーナや漁港に展開したい」と話す。
(29日付電波新聞・電波新聞デジタルに詳報します。)