2022.02.18 成長投資ステージに入るパイオニア・矢原史朗社長

NP1を持つパイオニアの矢原社長

 パイオニアは車載向けサービス事業を強化し3年後に関連事業で300億円、2030年に1000億円に成長させる目標を掲げた。ハード機器売り切りの事業からサービス事業への転換を掲げてから2年―。矢原史朗社長は「再建ステージは完了し成長投資ステージに入った。データを活用したサービス事業の拡大ステージに入っていく」と話す。

 サービス事業を強化していくうえで重要なのは、継続して利用してもらうためのサービスメニューを作ることと、サービスを提供するための情報技術基盤(プラットフォーム)を作ることが不可欠だ。矢原社長は「今回、事業の中核となる人工知能(AI)を使った独自の車載向け技術プラットフォーム『Piomatix(パイオマティクス)』が開発できたため、この基盤を軸にサービス化を図っていく」という。

 開発したパイオマティクスは、独自の技術基盤で、カーナビゲーションシステムをはじめとした車載端末からのデータをはじめ、様々な情報を集め、クラウド上で分析し運転者などに合わせて最適な情報提供をできるようにする。「ここに集まるデータを使った新しい情報サービスも提供できるし、ハードと組み合わせた展開もできる。データを売るだけではなく、データを掛け合わせて新しいサービスを生んだり、ハードと組み合わせたり、様々な要望に合わせたサービスを提供できる」(矢原社長)。

 今回、パイオマティクスを使った第1弾の製品として、3月2日から新車載端末「NP1」を発売する。コンシューマー向け製品の第1弾だ。音声のみで操作し、ナビの案内やドライブレコーダーにもなる。パイオマティクスとつながることで発売後も進化していく。今後、第2弾、第3弾のサービスも開発中で、欧米、アジアなどグローバルで展開する考えだ。

 「準備に時間がかかるが、顧客が増えればデータもパートナーも増えてくるため一気に伸びてくるはず」。矢原社長は確かな手ごたえを感じている。パイオニアのサービス事業の今後が注目される。

(21日付電波新聞・電波新聞デジタルに詳報します)