2022.03.02 【コンデンサー特集】松尾電機タンタルコンデンサー

チップタンタルコンデンサー267型

3216サイズ増産、海外顧客の開拓にも注力

 松尾電機は、タンタルコンデンサーの旺盛な需要に対応し、開発を完了した導電性高分子タンタルコンデンサーの量産準備に入った。フィルムコンデンサーも供給責任をしっかり果たしていく。

 タンタルコンデンサーは、車載向け、産業機器向けを中心に需要が増大しフル生産中のチップタンタルコンデンサーの3216サイズ、3528サイズを増産する。特に3216サイズは、チップタンタルコンデンサーを生産する福知山工場(京都府福知山市)の2012サイズの設備を3216サイズに切り替え、3216サイズの生産能力を年内に現在よりも30~40%増やす。

 釜屋電機を第三者割当先とする1月末の新株式発行で調達した資金を、チップタンタルコンデンサー同様にフル生産中のリチウムイオン電池過電流保護用の高電流ヒューズの増産とともに、タンタルコンデンサーの増強に充てる。

 世界的な6大メーカーのうち4社に納入している補聴器向け下面電極構造の1608サイズ、1005サイズチップタンタルコンデンサーや、鉄道制御機器向けなどの高信頼性市場向けに需要が増加している静電容量22μF、10μFのリード付きタンタルコンデンサーの生産にも力を入れていく。リード付きタンタルコンデンサーは本社工場(大阪府豊中市)で生産。長寿命、広温度範囲で安定した電気特性の要望に応えている。

 導電性高分子タンタルコンデンサーは、23年度以降の同社コンデンサー事業をけん引する重点製品と位置付け、開発、生産に注力する。パソコンのCPU周りの低ESRニーズに応え、従来構造の3528サイズで低ESR(等価直列抵抗)品の開発を進め、既に25mΩの低ESR品の開発を完了した。

 23年4月の生産開始を目指し、導電性高分子タンタルコンデンサーを生産している福知山工場で量産準備に入っている。月産能力100万~200万個でスタートする予定だ。

 業務用カメラ向けなどに供給している6032サイズの従来構造品や、ハイレゾタイプのオーディオプレーヤー、補聴器などに採用されている1608~3216サイズの下面電極構造品で培った導電性高分子タンタルコンデンサーの技術、生産ノウハウを活用。従来構造の7343サイズで40mΩのESRを10mΩに抑えた低ESR品の開発に22年度から取り掛かる。

 フィルムコンデンサーは、PETのディップ品、ケース品、テープラップ品、PPのディップ品、PPSのディップ品を島根工場(島根県出雲市)で生産している。PETのディップ品は容量許容差プラスマイナス5%の高精度需要に対応。主に車載向けに供給する。

 中長期経営計画達成に向けて成長市場の海外売り上げを伸ばすため、販売代理店契約を結んだ釜屋電機、台湾の華新科技(ウォルシンテクノロジー)による海外顧客の開拓、売り上げ拡大にも積極的に取り組む。