2026.07.06 【電子部品技術総合特集】電子部品各社、研究開発を強化 技術開発が成長の原動力

電子部品技術の高度化が進んでいる(AIサーバー用の高密度多層基板)

AI新市場を成長機会に 社会課題解決へ技術磨く

 電子部品メーカー各社は、次代を切り開く研究開発、技術開発に継続的に取り組んでいる。IT・エレクトロニクス市場は、AI(人工知能)技術の高度化と急速な普及拡大を背景に、大きな変革期を迎えた。AIはサーバー、データセンター(DC)のほか、モビリティー、高機能ICT端末、産業機器、社会インフラなど幅広い産業に技術革新をもたらし、社会や人々の暮らしを大きく変える。電子部品各社は、こうした変化を成長機会と捉え、短期、中長期の両面でR&D(研究開発)を強化し、新たなソリューション創出に力を注ぐ。

 日本の電子部品産業は、IT・エレクトロニクス産業や自動車・モビリティー産業、FA(工場自動化)機器・製造装置、各種インフラ分野などの発展を支える基盤産業だ。電子部品メーカーの成長の原動力は、イノベーションの源泉となる技術開発にある。各社は既存技術の深耕とともに、将来の社会ニーズを踏まえた中長期の技術戦略を策定し、基礎研究や要素技術開発に取り組んでいる。

 用途別で多くの企業が重点を置くのが、自動車・モビリティー分野だ。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)やSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル=ソフトウエア定義車)をメガトレンドとする車の技術革新に照準を合わせ、xEV(電動車)や自動運転車向けの技術開発を進めている。

 ICT関連では、急速に進化・拡大するAIサーバー/DC市場の存在感が高まっている。最近は、同市場を事業拡大に向けた最重点分野に位置付ける部品メーカーも増えている。モバイル端末分野では、スマートフォンの5G化やエッジAI端末化に伴う高機能化が期待され、これらに照準を合わせた超小型・高性能部品の開発が活発になっている。将来の6G通信を見据えた技術開発も進む。加えて、将来の「ポストスマホ」候補とも目される次世代スマートグラスなどに向けた超小型部品開発にも力が注がれている。

AI市場に新需要
 AIの広がりは、DCやICT端末にとどまらない。フィジカルAIに代表されるヒューマノイドロボット、スマートファクトリーやスマートビルディング、将来の完全自動運転車、先進医療ソリューションなど、あらゆる産業に大きな変革をもたらす。AIが「モビリティー革新」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「GX(グリーントランスフォーメーション)」などのキーワードと融合することで、さまざまな産業分野で技術革新が起こり、新たな需要を創出していくとみられる。

 電子部品各社は、AIが生み出す新市場をターゲットに、コア技術を活用した技術開発や技術マーケティングを一段と強化し、今後も成長の継続を目指す。

 さらに最近は、日本の防衛費増額を受け、防衛関連分野での技術開発を重視する部品企業も増えている。

 モノづくり力の高度化も追求されている。中長期視点に立ち、高精度・高効率で、より省人化された次世代製造ラインの開発に力が注がれる。

社会課題解決へ開発加速
 現在の世界は、「世界人口の爆発的増加と食糧危機」「エネルギー不足」「先進国での少子高齢化と労働人口減少」「気候変動問題」「紛争の増大」など、さまざまな課題を抱え、喫緊の対応が求められている。電子部品各社には、こうしたニーズに対応し、GHG(温室効果ガス)排出量削減や、人手不足を解消する自動化ソリューションをはじめ、社会課題や顧客課題を解決する技術ソリューションの創出が期待されている。

 最近の電子部品産業を取り巻く事業環境は、AI市場の拡大が部品需要を押し上げる一方で、地政学リスクの高止まりや米中対立の長期化、世界的なインフレ加速、アジア系競合部品企業との競争激化など、先行き不透明な要素も多い。米国、イスラエル、イランを巡る中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の不安定化も、

先が読みにくい要因となっている。このため、部品各社はBCP(事業継続計画)を重視した生産・開発体制の再構築を進めるとともに、グローバルでの情報収集活動にこれまで以上に力を入れる。

 市場変化のスピードが増す中で、部品各社のM&A(企業の買収・合併)やアライアンス戦略も一段と活発化している。電子部品への技術要求が高度化する中、産学連携活動も活発に進められている。各社は外部リソースも有効活用しながら、開発のスピードアップやソリューション提案力向上を図り、今後も持続的な成長を目指す。