2022.07.01 【家電総合特集】オーディオ試聴会で高音質提案、若者や女性層取り込み図る

試聴会も増え、実際に良い音を聴きながら提案する動きが活発化

 新型コロナウイルスの感染拡大による〝巣ごもり〟需要で、自宅で楽しめるオーディオ機器への関心が高まるものの、より良い音を求めるHi-Fiオーディオを楽しむオーディオ愛好家の年齢層は高くなる傾向があり、国内オーディオ市場の成長には、若者層や女性層の獲得がカギになる。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の出荷統計によると、国内のオーディオ関連機器は減少傾向が続いており、厳しさが垣間見える。ただ、スピーカーやシステムオーディオなど底堅い需要を示す製品分野もある。オーディオは趣味嗜好(しこう)の世界でもあるため、いかに良い音を実体験してもらうかが課題で、良い音を聴ける売り場づくりや試聴会の開催といった地道な活動が不可欠だ。

 今年に入り行動規制が全て解除されたことで、演奏会やライブなども開催されるようになってきた。オーディオの世界でも試聴会などが開催されるようになり、先般は3年ぶりにOTOTENがリアル開催され、多くの来場者でにぎわった。今後はいかに幅広い層に音の良さを伝えていくか、業界を挙げて取り組んでいく必要がある。

 AV機器の世界に入るには、良い音を聴きステップアップさせる環境を整えることが重要になる。最近の若者層は音楽をインターネット経由でダウンロードして聴いたり、ストリーミング配信を聴いたりしている。スマートフォンで音楽を聴くスタイルが当たり前になっている半面、CDよりも高音質なハイレゾリューション(ハイレゾ)音源が拡大しており、手軽に高音質な音源を楽しめる環境はできている。

 この環境をいかに機器の購入動機につなげていくか--。実際、ここ数年で一気に拡大してきたハイレゾ音源もオーディオ市場には追い風だ。日本オーディオ協会が取りまとめているハイレゾ規格対応の製品展開も進んでおり、良い音を楽しむための機器が一目でわかるようにもなってきている。

 同時にこの5年は、アナログレコードも注目されるようになった。原音を忠実に再現するアナログ音源の良さも再注目され、レコードプレーヤーの製品群も増えてきた。

 ここ2~3年はブルートゥースによるワイヤレス接続のオーディオが増えている。ヘッドホンやイヤホンはワイヤレス化が進み、スマートスピーカーなどもワイヤレス接続し、高音質で音楽などが楽しめるようになってきている。

 まずは身近な音楽を高音質で楽しむ環境づくりを支援しながら、Hi-Fiオーディオまでステップアップする人を増やしていくことが重要だろう。

 新たなオーディオも出てきた。現在、ハイレゾに次いで注目されてきているのが3Dオーディオやイマーシブル(没入感のある)オーディオだ。包み込まれるような360度の音響が楽しめる。3Dオーディオの規格は、ドルビーアトモスとソニーの360リアリティオーディオがある。没入感のある音が体験でき、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)と合わせて使うケースやゲームでも対応が始まっている。