2022.07.05 コネクターメーカー国内で工場新設・拡張の動き活発化

車載イーサネット規格100BASE-T1対応基板対ケーブルコネクター(日本航空電子工業)

 コネクターメーカー各社の日本国内での新工場建設や既存工場拡張の動きが活発化している。各社は、旺盛なグローバル需要への対応や、モノづくり力の強化、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化などを目的に、積極的な生産体制増強を進めており、特に、自動車や産業機器向けなどの付加価値の高いコネクターの製造拠点として、国内再投資を強化している。

 コネクターは、電子機器内の回路接続や、電子機器同士を電気的に接続するための電子部品。あらゆる電子機器・装置に使用され、特に近年はハイエンドスマートフォンや高機能化が進む自動車をはじめ、通信インフラ、データセンター、FA機器/半導体製造装置などの用途向けにグローバル需要が拡大している。

 日系コネクターメーカー各社は、20年はコロナ禍による経済停滞などを踏まえ、やや設備投資を抑制する動きもみられたが、21年以降は再度、積極投資に舵を切り、22年から23年にかけても多くの企業が国内外で生産能力増強のための積極投資を計画している。

 主要コネクターメーカーの多くは、中華圏やASEAN、欧米などグローバルな生産体制を構築しており、特に過去10年程は、ASEAN地域を軸とした生産体制増強に力が注がれていたが、直近では日本国内での新規投資計画が目立っている。

 各社は、国内新工場や新工場棟の建設を通じ、より高度なモノづくりの推進やスマートファクトリー化を図ることで、車載や産業機器/半導体製造装置等をはじめとする付加価値の高いビジネス分野に向けた提案力の強化につなげる。

 日本航空電子工業は、山形航空電子(山形県新庄市)第2工場に新棟(B棟)を建設する。今年4月に着工し、23年春の竣工を予定。これにより、EV向けコネクターの生産技術確立・生産能力拡大を図るとともに、自動車・産機向け等の国内生産拡大によりサプライチェーンの強靭化を進める。

 ヒロセ電機は、22年度中に、郡山ヒロセ電機(福島県郡山市)の新工場の本格着工に着手する。新工場は、車載・産機を中心とする先端モノづくり工場として、23年度中の竣工を予定する。

 イリソ電子工業は、国内新工場を秋田県横手市に建設する。23年度(24年3月期)の着工、25年の操業を予定する。今後のEV、HEVなどの環境対応車向けを中心とした需要の拡大、「マルチ生産体制」によるBCPおよびマーケット・インによる物流費の低減と生産効率を見据え、秋田県に新工場を建設することを決めた。

 山一電機は、半導体テストソケットやコネクターの生産体制増強のため、佐倉事業所(千葉県佐倉市)の敷地内に新棟を建設する。23年2月に着工し、24年4月の生産開始を予定する。
(6日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)