2022.07.06 富士通、カメラ使わず高齢者見守りミリ波センサーで人の動き推定

 富士通は6日、ミリ波センサーで収集した3次元の点群データから、高齢者の転倒など人の動きを推定する新技術を開発したと発表した。粒度の粗い点群データでも高精度に姿勢を推定できる独自の人工知能(AI)を組み合わせ、高齢者の転倒などの異常を検知する。病院や介護施設などプライバシーへの配慮が必要な空間でも、カメラを設置せずにきめ細かな見守りができるようになる。効果を検証し2023年度中のサービス化を目指す。

 新技術では、国内電波法に準拠する79ギガヘルツ帯の一般的なミリ波センサーを使用する。1回の電波の照射で得られる点群データは粒度が粗く人の形状を誤って認識するなど姿勢を推定するのは難しかったが、点群の時系列データで人の姿勢が表現できることに着目。1分間に数十回の電波を照射して得た大量の点群データの中から、推定に適したデータを選定し、粒度が細かいデータに拡張できる技術を開発した。

 富士通フェローSVPコンバージングテクノロジー研究所長の増本大器氏は同日の記者発表で「技術的には確立できたが、社会の受容性が課題。ミリ波センサーはカメラ映像と違ってプライバシーを守ることができるが、センサーによってデータを取得することを利用者にしっかり理解してもらうことがチャレンジだと思っている」と話した。

(7日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)