2022.10.03 関係者が語る、東大阪市のオープンファクトリー「こーばへ行こう!」にかける想い
鼎談の様子
ものづくりの町、東大阪市内で毎年開催されているオープンファクトリー「こーばへ行こう!」。5年目を迎える今年は過去最多の24社が参加し、11月18、19日の開催に向けて現在も準備が進んでいる。実行委員会委員長の草場寛子氏(盛光SCM社長)、近畿経済産業局地域経済部イノベーション推進室の津田哲史総括係長、市都市魅力産業スポーツ部モノづくり支援室の辻尾博史室長の3人に、「こーばへ~」にかける想いを聞いた。
「こーばへ~」が始まったのは、町工場と地域住民との間で生じた騒音トラブルがきっかけ。草場社長は「東大阪は、住工混在のまち。トラブル解消に必要なのは、人と人との間にある心の壁を取り除き、工場と地域住民とのつながりを深めること」と語る。
「こーばへ~」から生まれるメリットはほかにもある。津田総括係長は「関西で実施されたオープンファクトリーへ参加した企業にアンケートを行ったところ、参加を通じて能動的な社員が増え、生産性向上につながったという『インナーブランディング』効果があったという声が半数近くを占めた。オープンファクトリーは日本全体の産業競争力を強化する手法になり得る」と指摘する。
市内約6000の事業所のうち、約9割は、従業員数20人未満の町工場。事業承継も大きな課題の一つだ。草場委員長は「要因の一つは、子どもたちがモノづくりに触れる機会がほとんどないこと。もう一つは職人から職人への技術承継だ。長年かけて何度も経験を積み重ねることでしか伝わらない技術がある」と強調。「そこで町工場同士の交流に意味が生まれる。それは社長同士だけでなく、従業員同士の交流も含み、その点でも「こーばへ~」に大きな役割がある」と力を込める。
今後も活動は継続していく。辻尾室長は「町工場のおっちゃんたちはとても馴染みやすいが、自分たちの技術をアピールするのは上手くない。自分たちのポテンシャルや魅力に気づいていないからだ。私たち行政がPRを手伝っていきたい」と述べる。
草場委員長は「来年以降は、町工場同士の交流の機会も設けたい。『こーばへ~』には“工場"だけでなく、出会いの場“交場"の意味も込めている。活動に共感し、利益以上の想いを持った人が集まるイベントとして盛り上げていきたい」と話していた。