2022.11.16 【EdgeTech+ 特集】ニチコン 小形リチウムイオン二次電池 「SLBシリーズ」提案

小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」

 ニチコンは、IoT市場に向けて長寿命、微弱電流充電、安全性などを切り口にした新しいコンセプトの蓄電デバイスである小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」の提案を進めている。

 SLBシリーズは、負極にチタン酸リチウム(LTO)を採用することで、電気二重層コンデンサー(EDLC)に迫る高い入出力密度を実現している。20Cレートでの急速充放電を可能とし、高レートで数万サイクルもの充放電を繰り返しても容量劣化が小さい耐久性を備える。マイナス30度環境下においても動作可能な優れた低温特性を持つ。

 また、0.01Cの低レートでの充電が可能で、太陽光発電や振動発電などの環境発電のような微弱電流にも最適だ。短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が発生しにくく、発火・発煙の危険性が極めて低いため安全。

 4月にはφ3・3×9Lミリメートル品(容量0.80mAh)とφ4.0×25.5Lミリメートル品(4.0mAh)の2サイズを追加。IoTエッジ端末用バッテリーなど急速充放電、長寿命、低温特性、高安全性の需要に応える。

 サムスンのスマートフォンGalaxyNoteに搭載のスタイラスペンに採用されているφ3×7Lミリメートル品(0.35mAh)、無線LAN端末、IoTエッジ端末、ウエアラブル機器、自動車ドアロックバックアップなどに拡販中のφ8×11.5Lミリメートル品(14mAh)、φ12.5×40Lミリメートル品(150mAh)と合わせて5品種を取りそろえた。

 今後は、環境発電を活用したメンテナンスフリーなワイヤレスIoTエッジデバイスの実現や、ハイレート放電特性と繰り返し充放電に強いサイクル特性を生かしたデータ通信用などに適用が可能で、インフラモニタリング、電子棚札、環境センシングの分野への導入を進める。

 7月にはベルギーの電源ICメーカー、e-peas(イーピーズ)とIoTエッジ端末用リファレンスボードの開発、提供で協業した。