2022.12.09 【ルームエアコン特集】電気代高騰で省エネ性重視、経済性を訴求で買い替え需要喚起
省エネ・節電への意識が高まる中、エアコン買い替え提案の好機到来
年末商戦では、暖房機としてルームエアコンは重点商品となる。電気代や物価が高騰する中、エアコンにはより省エネ・経済性が求められるようになっている。また快適性、清潔性まで、エアコン性能は年々進化しており、店頭では総合的な商品力を訴求することで、商機をつかみたいところだ。
ルームエアコンは、夏場の熱中症対策をはじめ、冬場においてメインの暖房機としての利用も進み、生活になくてはならない必須の設備となっている。一方で、家庭内で最も電気代がかかる機器でもあり、電気代が値上がりする中、ますます省エネ・経済性が問われることになる。
コロナ禍で、在宅時間が伸び、室内の清潔性、快適性、空気の質などに対する関心は高まっており、ますます室内空間の最適な空調を担うエアコンの必要性は強まっている。
市場全体は、2022年度に入り、上海ロックダウンや部品不足などを背景に、商品供給に影響が出たほか、夏場の天候不順もあり、上期(4~9月)は前年を下回って推移した。
通期で見ても、電気代や諸物価の高騰で消費意欲が減衰することが考えられ、一方で新型コロナに絡んだ規制が緩み、旅行・レジャーへの支出が増えるといったことも関係して、エアコンを含めた家電購入への影響を懸念する向きもある。
また生活様式の変化により、エアコン自体の市場は近年900万~1000万台前後の高い水準で推移したこともあって、この反動も考えられる。ただ、大きな落ち込みは考えにくく、生活に必須の設備として定着する中、堅調な需要は見込めそうだ。
年末商戦では、電気代の値上がりや諸物価の高騰が、消費マインドにどう影響を及ぼすか、見えにくい面もある。店頭では、もはや値上がりが当たり前であり、どう商機をつかむか、ということに考えを切り替えて、あの手この手の活性化施策に力が入っている。
こうした中で電気代高騰を背景に、省エネ・経済性訴求を前面に押し出すことで需要喚起を図る取り組みは、正攻法の一つとなる。
パナソニックが今年9月に行った調査では、電気代が増えたと答えた人が65%、電気代が気になる家電はエアコン(87%)が断然トップ(2位の冷蔵庫は39%)だった。
ダイキン工業の調査(電気料金の値上げと節電要請に関する空気感調査/22年11月)でも、7割超が電気代値上がりを実感したと答え、この冬最も節電したい家電は断トツでエアコン(62.6%)となった(2位の照明は45.3%)。
また、節電はしたいが、エアコンは暮らしに欠かせない「生活インフラ」と思っている人も約9割(89.7%)、エアコンを使い続けるために省エネにつながる使い方を実践したいと考える人も45%いる。
ただ、三菱電機の調査(エアコン暖房の電気代に関する調査/22年12月)では、エアコン暖房の電気代高騰が気になる人が94.3%いる一方、「現在節電の工夫をしていない」人が約8割(79.2%)いるという結果も出ている。
このため、エアコンのさまざまな節電対策の啓発が大切になるが、10年以上同じエアコンを使い続けているユーザーには、〝買い替える省エネ〟を、今こそ積極的に訴求することが重要だろう。
最新エアコンの省エネ技術と快適性能(冷暖房や湿度コントロール、換気機能・除菌機能搭載など)の両立を実現する高度な技術を、ユーザーにしっかり伝えることで、経済性、快適性訴求につながる。
家庭の省エネ・CO₂削減にも貢献し、買い替え提案は環境貢献にも結び付く。市場環境が厳しい中でも、ここに商機は必ず見いだせるはずだ。