2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望  LED照明

住空間の快適性や癒やしに照明が果たす役割は大きい

IoT対応で調光調色や省エネ

一般照明として定着したLED照明は、快適や癒やし、さらなる省エネにつながる付加価値の高い製品が、今年はますます注目されるはず。それらを実現する鍵を握るのは、IoT化だ。

 日本でのIoT照明の普及率は2~3%程度とみられており、まだまだこれからというのが実情。

 家電のIoT化が進むにつれて、照明の世界大手シグニファイが展開する「Philips Hue(フィリップス ヒュー)」に代表されるIoT照明にも、さまざまな製品が登場するようになった。しかし、実際の家庭での使用は「二の次」といった状況で、普及が思うように進まない状態となっている。

 ただ、コロナ禍で強まった快適や癒やしを求める傾向に加え、電気代高騰による省エネ製品への注目度は高まるばかり。快適な住空間に照明は不可欠な要素で、ここにこだわる層は今後増えるはず。その際にはIoT対応による調光調色や省エネにつながる制御が重要になってくる。

 カナダのナノリーフなど、IoT化を生かして空間演出を行うLED照明が日本でも本格的に発売されるなど、今年は単なる〝あかり〟にとどまらないLED照明のさらなる拡大が予想される。

 コロナ禍となってから国内の照明市場は商業施設などでの工事案件の延期や中止などで、一時的に出荷が落ち込んだ。新型コロナの落ち着きに合わせて設備更新などの投資も戻りつつあり、ここにきて出荷台数は前年を上回る状況が続く。日本照明工業会(JLMA)の統計によると、昨年4~10月のLED照明器具の出荷台数は3800万台超と前年同期比で3%伸びている。

 照明各社は、付加価値品を軸とした製品展開を強化している上、素材価格の高騰などを吸収しきれず製品価格の値上げにも踏み切っているため、出荷金額は同期間で1割以上伸びている。コロナ前の水準に回復とまでは言えないが、市場環境は上向き傾向にある。

 そうした中、今年は、IoT対応したLED照明が市場で存在感を一段と増すとともに、光の質と器具としてのデザイン性を兼ね備えたLED照明や、サステナビリティー(持続可能性)を意識してエコ素材を活用した器具などの注目度および需要が高まるだろう。省エネ性という点では既存光源からLEDへと転換するメリットは大きいが、LED照明自体へのエコ素材の採用をはじめ、その梱包材などでエコフレンドリーな取り組みが照明各社の間で広がりつつある。

 国内市場はLED照明が普及期に入ったことに加え、コロナ禍でここ数年は伸び悩んできた。その状況を新たなライフスタイルと社会環境が変える可能性があるはずだ。