2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望  炊飯器

おいしい炊き上がりにこだわるユーザーは高機能炊飯器への関心が高い

炊き上がりのおいしさにこだわる

 炊飯器は、コロナ禍で内食化が進み、調理家電全般が好調に推移した中では、あまり大きな伸びを見せていない。そういう中で、より炊き上がりのおいしいご飯にこだわりを持つユーザーは着実に増え、高機能商品へのニーズは着実に増えている。

 炊飯器は、もともと普及率が高く、ほぼ必需品的な家電であり、巣ごもり消費があっても、買い替えはなかなか促進されなかった。

 ただ、おいしさへのこだわりを持つユーザーは多く、高火力で炊き上げるIH式が全体の8割弱を占めており、今では主流となった。

 高機能・高単価のIHジャー炊飯器は、2023年も引き続き堅調な需要が見込まれる。各社、炊き上がりのおいしさにこだわった商品戦略を加速しており、需要喚起に期待がかかる。

 炊飯器の商品戦略では、メーカー各社がおいしさを追求する中で、鉄・ステンレス・土・炭素材料などさまざまな素材を用いた内釜の開発や、より高火力に炊ける炊飯方式の改良、IHヒーターの進化など、高度な炊飯技術の開発が活発だ。

 各社が炊飯技術の基本に置くのは、日本人にとって、ご飯のおいしさの原点である〝かまど炊き〟にいかに迫るかという点で、内釜やIHヒーターの改良に加え、茶わん一杯分の少量でもおいしく炊き上げられる最適な炊飯プログラム開発など、各社さまざまな切り口で付加価値の高い商品戦略を加速している。

 少容量タイプの炊飯器でも、マイコン式からIH式へ、さらにIH式でも高機能炊飯器へと付加価値の高い商品戦略が進む。

 近年、米をまとめ炊きして冷凍保存するユーザーも増えていることから炊飯プログラムに冷凍用ご飯コースを採用するなど、ユーザーに寄り添った機能開発も活発だ。

 さらに、調理も可能な炊飯器も多い。パンやケーキ、蒸し料理、煮込み料理などの調理機能を搭載することで、食生活の幅が広がる。

 炊飯器の付加価値化の方向の一つとして、IoT機能の搭載も徐々に増えている。IoT機能搭載により、銘柄米に応じた最適な炊飯プログラムをダウンロードできたり、機能のアップデートが可能だ。

 またアプリでECと連携して米をオンライン購入する、さらに離れて暮らす親などの炊飯器使用状況が分かる「見守り機能」といった新たな炊飯器の価値創出も進む。

 炊飯器で今までにない価値創出を目指す商品戦略としては、パナソニックの「自動計量IH炊飯器」が話題となっている。

 発売前の先行体験プログラムへの応募が200人限定に対し1万人近くの応募があり高い関心を集めた。