2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望 冷蔵庫

省エネ、フードロス削減など環境にやさしい切り口での価値提案に力が入る冷蔵庫

まとめ買いで大容量型が伸長 2台目需要も  

 冷蔵庫は、在宅機会が増えて、内食化が進んだこと、また従来より進行している共働き世帯の増加などを背景に、まとめ買いが増えたことから、庫内容量が401リットル以上、あるいは501リットル以上の大容量タイプが伸びている。

 また、同時に冷凍食品の需要が高まっていることから、冷凍庫の大容量化、急速冷凍など、おいしく保存する冷凍技術の進化が見られる。

 さらに、冷凍食品の消費拡大に合わせて、セカンド冷蔵庫(冷凍庫)の需要も増えており、多様なニーズに合わせた商品開発が活発だ。

 近年は、コロナ禍を経てライフスタイルが多様化しており、冷蔵庫には冷凍技術はもとより、食材の鮮度保持技術、設置性や奥行き(取り出しやすさ)といった使い勝手の向上、キッチン空間に映えるデザイン性まで、多彩な商品戦略に各社力を入れている。より豊かな食生活実現のためのIoT化も進み、新たな価値創出にも力が入っている。

 冷蔵庫は、買い替え需要に支えられ、毎年ほぼ安定した需要で推移している。コロナ禍に見舞われた2020年度は、巣ごもり需要の増加でまとめ買いが加速。前年を上回って推移し、大容量化が進んだ。

 21年度は、通期で前年度比95.0%の372万5000台と2年ぶりマイナスとなったものの、まとめ買いや家庭での食事機会が増えたこともあって、501リットル以上の大容量タイプは前年度を上回った(日本電機工業会=JEMAまとめ)。

 22年度に入ってからは、ほぼ横ばいで安定している。4月から11月までの累計では、前年同期比100.5%の249万9000台だ。ただ金額ベースでは同103.9%と単価が伸びている。

 また、401リットル以上の大型冷蔵庫は同100.5%で、金額ベースが同104%となっている。

 冷蔵庫の買い替えサイクルは10年強とされ、10年度にはエコポイント特需があったことから、当時購入された冷蔵庫の買い替え時期を迎えているため、23年度も引き続き安定した需要が見込めそうだ。

 23年度を見通した場合、エアコン同様に買い替え需要を喚起するキーワードは〝省エネ〟となる。ユーザーの節電意識に応え、買い替えることでの省エネ実現および、より使い勝手がよく利便性が高まっている新製品の魅力を訴求することが重要だ。

 なお、近年冷凍食品の消費の高まりを反映してセカンド冷蔵庫(冷凍庫)の需要が高まっている。

 家庭用冷凍庫の市場では、横開きタイプの冷凍庫の出荷台数は19年度までは年間18万台程度で推移していたものが、コロナ禍に見舞われた20年度は一気に33万6000台となり(JEMA調べ)、21年度はさらに37万5000台へと伸長した。

 シャープの予測では22年度も通期で42万台強と高水準の出荷台数を見込むなど、大きく拡大しそうだ。コロナ前と比べ、わずかの期間に倍増した。冷凍食品の消費拡大、ホームフリージングのニーズが続くかぎり、23年度も安定して需要が見込めそうだ。

 冷蔵庫は、鮮度保持性能や冷凍技術がより進化し、顧客の困り事に応える特長をふんだんに盛り込んだ商品戦略が活発だ。

 特にコロナ禍で内食化が進展したことで、冷蔵庫の使用頻度もコロナ前に比べて大きく伸びている。

 このため、省エネ性能への関心は一層高まり、近年の電気代高騰を受けて、今後より節電対策に向けた提案も重要になる。

 また、冷凍技術の進化はフードロス削減にも効果があり、〝食材を使い切る冷蔵庫〟といった新たな価値提案に力を入れるメーカーもあり、冷蔵庫の買い替え需要の顕在化に各社力を入れる。