2023.01.13 【放送/機器総合特集】23年 年頭所感 衛星放送協会 小野直路会長

小野 会長

インフラ料金の負担を軽減独自コンテンツ強化

 謹んで新春のお喜びを申し上げます。

 昨年、無事に開催された2022FIFAワールドカップは、ドイツとスペインに勝利した森保ジャパンの躍進が、日本サッカー界に輝かしい歴史を刻みました。国内でも昨年からさまざまなスポーツ競技やイベント、エンターテインメントが有観客で開催されるようになり、活気が戻りつつあります。

 昨年の3月、BS放送では三つのチャンネルが誕生し、衛星放送のチャンネル・バリエーションが広がりました。また、新4K8Kが視聴できる機器の出荷台数は21年8月末に1000万の大台に乗り、昨年10月末時点では1440万台にまで増加し、高画質でテレビを楽しむ視聴環境は着実に拡大しております。

 一方、放送事業を取り巻く経営環境は、円安による調達価格の高騰や、ネット動画配信サービスの台頭などによって、厳しい状況におかれています。少子高齢化による人口減少や、ライフスタイルの多様化が進む中で、多くの放送事業者が利用者を取り込むための経営改革に必死に取り組んでおります。

 今後、衛星利用やアップリンクなどにかかるインフラ料金の負担軽減を実現し、経営基盤の強化を図ることが欠かせません。衛星放送協会では長年にわたり、こうした固定費の軽減策に取り組んでまいりました。これによって事業者は経費を確保し、番組調達やオリジナル番組の制作に振り向けることが可能になると考えております。

 衛星放送協会では会員社のコンテンツ制作力向上を掲げて、11年から「オリジナル番組アワード」を開催し、加盟社が制作するオリジナル作品の周知活動に力を注いでおります。これまでに新聞の全国紙、地方紙、業界紙に掲載いただきました。フジテレビの「週刊フジテレビ批評」では、表彰の模様とともに、各受賞作品のポイントを丁寧にご紹介いただいています。

 19年から授賞式番組を衛星放送協会が制作し、スカパーJSAT、JCOMのご協力の下、1カ月間にわたり無料放送いたしました。インターネット展開では、衛星放送協会ホームページで紹介するほかに、角川アスキー総合研究所が運営するASCCI・JPにアワード専用ページを開設し、受賞作品を紹介するだけではなく、制作者や出演者のインタビューも掲載しております。こうした発信によってツイッターなどSNSにも広く拡散するようになり、アワードを通じて加盟社のオリジナル番組は全国に知れ渡るようになりました。今後もオリジナル番組の制作が一層促進されることを期待しております。

 今後、放送事業者が制作したコンテンツを軸に、配信事業者や異業種と形成するマルチ・ビジネス展開は一層期待されております。激しい変化に直面する時代の中で、衛星放送協会では、今後も加盟社が抱える諸課題の解決に向け、関係団体、関係省庁との連携を強化しながら積極的に取り組んでまいります。

 新しい年を迎え、一刻も早く平穏な日常が戻ることを祈念し、新年のごあいさつとさせていただきます。