2023.01.13 【放送/機器総合特集】23年 年頭所感 総務省情報流通行政局地上放送課 松井正幸課長
松井 課長
デジタル時代の在り方検討
放送網の強靱化支援
令和5年(2023年)の年頭に当たり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。皆さま方には日頃から放送行政に格別のご理解と御協力を賜り、心から御礼申し上げます。
現在の放送を取り巻く環境は、若者を中心としたテレビ離れや、動画配信サービスの進展などにより大きく変化していると認識しております。
こうした中で、放送がその社会的役割を果たし続けられるよう、昨年8月に公表された「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の取りまとめも踏まえつつ、総務省としてさまざまな取り組みを進めてまいります。放送事業者の皆さまにおかれましては、新たな時代の放送事業の発展に向けて、未来をしっかりと見据えた着実な歩みを進めていただくことを期待しております。
本年は、5年に1度の地上基幹放送局の一斉再免許が11月に控えております。前述の通り、放送を巡る環境が変わりゆく中においても放送の社会的役割は重要であり、今後5年間において、放送が引き続き国民の皆さまの重要な情報メディアとして、しっかりと役割を果たせるよう、放送事業者からの再免許申請に対する業務に取り組んでまいります。
AMラジオ放送については、放送設備の老朽化に伴う更新費用の負担などに関する課題を抱えています。再免許の際、民間AMラジオ放送事業者の皆さまが将来的に経営判断としてAM放送からFM放送に転換することを選択できるよう、一定期間AM局の運用休止を可能とする特例措置を設けるなど、必要な取り組みを進めてまいります。
また、字幕番組、解説番組および手話番組といった視聴覚障害者など向け放送については、平成30年(18年)に策定された「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」に基づき、その普及に向けて放送事業者の皆さまには多大な御尽力をいただいております。昨年5月には、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が施行され、情報アクセシビリティーの向上について政府全体として一層の取り組みが求められているものと認識しております。総務省としても、昨年11月から「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」を開催しており、本指針の中間見直しに向けた検討を進めております。また、字幕番組などの制作費や設備整備費の助成についても引き続き行ってまいりますので、放送事業者の皆さまにおかれましては、積極的にご活用いただけますと幸いです。
災害時において、避難情報や生活支援情報などのきめ細やかな情報を、迅速かつ正確に発信するテレビやラジオは、国民の安心・安全を支える重要な社会基盤となっています。総務省では臨時かつ一時的に開設される臨時災害放送局用の送信設備を総合通信局所(11カ所)に各1台配備していますが、激甚化・頻発化する大規模災害発生時に備えて、令和4年度(22年)末までに、さらに1台ずつ追加配備されることとなりました。引き続き、放送ネットワークの強靱化(きょうじんか)を強力に支援してまいります。
結びに皆さまのご健勝とご多幸を祈念し、新年のごあいさつとさせていただきます。