2023.06.03 マイナカード信頼確保へ、デジタル庁が定例会 対策徹底に全力
マイナンバーカードの関連事案に関する定例会であいさつする河野デジタル相(奥の列右から3人目)=2日、東京都千代田区
マイナンバーカードに関するトラブルが相次ぐ中でデジタル庁は2日、省庁横断で関連情報を共有するフォローアップチームの定例会を報道陣に公開した。出席した河野太郎デジタル相は、トラブル防止の対策を徹底する姿勢を強調。一連の問題を受けて全国知事会会長の平井伸治鳥取県知事らはマイナンバーカードの安全で安定的な運用を求める緊急提言を行っており、政府一丸で早急に信頼を取り戻す対応が求められそうだ。
5月下旬に立ち上げたのは、平日開催の「マイナンバーカード関連事案に対するフォローアップチーム定例会」。河野氏を含むデジタル庁の政務三役やデジタル監のほか、総務省や厚生労働省の担当者らも参加。発生事案に加えて、システム改修や総点検などの状況についても共有する場となる。
マイナンバーカードを巡っては、コンビニエンスストアで住民票の写しなどを交付するサービスを利用する際に別人の証明書が発行される不具合が相次ぎ発生。さらに、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」を用いる際に別人の情報がひも付けられるケースが確認されたほか、国の給付金などを受け取れる「公金受取口座」の誤登録なども起きている。
河野氏は2日に開かれた定例会の冒頭で、一連の問題を踏まえて「対策をしっかりと打って、新しい事案を起こさないようにしたい」と強調した。
一方で、身分証明書としても使用できるマイナンバーカードの活用促進などに向けた改正関連法が同日の参院本会議で可決、成立された。これにより、現行の健康保険証は来秋に廃止され、マイナ保険証に切り替わる。マイナンバーの利用範囲も拡大され、理容師や美容師などの各種資格の取得・更新手続きでも使えるようになる。
河野氏は同日の閣議後記者会見で、国民生活の利便性向上につながる改正法の利点に触れた上で、「法律の審議中にマイナンバーカードに関する一連の事案が明らかになり、国民の皆さまに不安を与えていることを大変申し訳なく思っている」と陳謝した。
河野氏はその上で、トラブルの防止策を徹底するとともに、「人為的なミスのリスクを低減させるため、人の介在をなるべく減らすデジタル化を推進していく」と力説。「改正をしっかりと着実に実行することで、マイナンバー制度の信頼の確保に引き続き努めていく」との考えも示した。
また、マイナンバーカードによるコンビニ交付サービスの不具合を受けてシステム停止を伴う総点検が進む中、河野氏は点検状況についても説明した。コンビニ交付システムを提供する富士通Japanのシステムを利用する自治体123団体のうち、82団体で点検が終了。残りの41団体は2日時点で点検中、または点検の日程が確定している状況という。点検期間は当初の4日から延長する予定で、河野氏は「6月半ばまでには(総点検が)全部終了すると思っている」との認識も示した。