2023.07.14 【電子部品技術総合特集】京セラ 仲川彰一執行役員研究開発本部長

仲川 執行役員

社会課題解決に貢献

情報通信・モビリティーなど

 京セラは、確固たる経営哲学、強固な財務基盤、多種多様な独自技術を強みに、次なる成長に向けて研究開発を加速する。

 仲川彰一執行役員研究開発本部長は「5月に発表した中期経営計画を含め当社がフォーカスするところをより明確にした。京セラグループのリソースをフォーカス先に集中し、早く社会実装して社会課題解決に貢献していく」と説明。2023~25年度中期経営計画で3年間に最大8500億円の設備投資と、最大3500億円の研究開発費を投入する。

 社会課題解決の4重点分野と位置付ける「情報通信」「モビリティ」「環境・エネルギー」「医療・ヘルスケア」では、外部との連携を強化。22年7月に九州大学と組織対応型連携契約を締結。医療・ヘルスケア、環境・エネルギーを皮切りに社会課題を探求し、共創テーマを定め、20年後の製品、サービスの実用化を目指す。23年4月には東京大学と環境・エネルギー、次世代通信、医療・ヘルスケアの3社会講座を開講。早期の社会実装を図る。

 また、3月にはアンリツと協業し、世界初のPCI Express5.0光信号伝送試験に成功。パナソニックサイクルテックやトヨタ、豊田通商とも高度交通情報システム対応の無線装置使用の電動アシスト自転車と自動車との車車間通信による交差点交通事故回避実証実験を行った。路車協調システム開発にも取り組む。

 新事業創出プロジェクトは、京セラグループのシナジーを発揮。高効率GaNレーザーを光通信用に開発中。従来に比べて水の使用量を99%削減できるインクジェット捺染(なっせん)システムを今秋、アパレル業界向けに販売する。協働ロボットは23年度中の受注予定など社会実装段階に入った。

 グローバル連携も同社日米欧の研究部門がバーチャル連携するグローバルR&Dセンターを開設予定で、活動を強化する。外部環境が大きく変化する中、業界連携、大学や企業と垣根を越えた交流、共創にも力を入れる。