2023.11.16 トラックボール「IST」新製品発表会 マウスに新境地、エレコムとミネベアミツミ
発表された新製品
エレコムは15日、トラックボールのマウスの新シリーズを発表する<トラックボール「IST」新製品発表会>を開き、ミネベアミツミの超小型で高性能なベアリングが採用された。交換式の支持ユニットと滑らかな滑りで、「宙に浮くような操球感」を訴求している新製品。「IST」として展開する。好評ならさらに展開する可能性があるほか、ほかの家電も手掛けるエレコムとして、超小型・精密部品を手掛けるミネベアミツミとコラボする可能性もありそうだ。
トラックボールマウスの市場では主にコスト面から、支持部にアルミナセラミックスや人工ルビーを支持球として使用する製品が中心。こうした素材は摩擦係数は低いものの、トラックボールの表面を支持球が擦ることで、支持部にほこりやごみが溜まりやすく、ボールの回転が鈍くなり、緻密な作業時にはトラックボールの滑り心地が悪くなってしまう課題があった。
またマウスという小型製品の可動部の滑り心地を追求する上で、内部の限られたスペースの中で支持球の固定方法に工夫が必要であるなど、設計上の難しさがあった。
エレコムは今回、新シリーズ開発に際しトラックボールユーザーを対象に事前にアンケート。製品を選ぶ際に「握り心地・フィット感」や「ボール操作のなめらかさ」が重要視されていることがわかった。
これも踏まえ、トラックボールの「滑りやすさの本質」を突き詰め、様々な実験と試作を重ねた。ミネベアミツミのボールベアリングについて、高精度で小型なのに加えて日本メーカー製であること、操作性や操作感の良さを高評価。新製品に採用が決まった。
ボールベアリングは、トラックボールの回転に合わせて回転するため、滑り始めから余分な力が不要。指の動きにボールがついてくることで、滑らかな操球と高い操作性を実現し、繊細な作業もスムーズできる。また、ボールベアリングを支持部に使うと、トラックボールの表面が擦れないため、削れず、支持部にほこりなども付着しづらい。メンテ頻度も最小限にできる。
使いやすさも工夫を凝らした。手首への負担を軽減する角度に着目。ボールを動かす親指を中心に、クリックやホイール操作する人差し指、中指、マウスを保持する薬指・小指・手のひらが無理なく楽な姿勢のまま操作できる形状を追求した。
また36ミリメートル大型ボールを搭載。ボールの操作範囲を可能な限り拡大するため、一般的なサイズよりひと回り大きくした形。滑らかに表面加工された大型ボールで、一度の操作でポインターを広範囲・繊細に動かせる。
30年のマウス開発のノウハウを結集し、親指型トラックボールの更なる使いやすさを追求した造形と、好みに合わせ支持方式を変更できる交換式支持ユニットを新開発したもの。担当者は「粘土でモックアップをつくるなど泥臭く開発するのが弊社の特長」と説明。コスト面や設計の課題などをクリアして、ベアリングに「回帰」した背景を解説した。今後、両社でさらにコラボする可能性も示唆した。