2024.01.08 エプソン、環境戦略を加速 新たな環境ビジネスを創出

エプソンは新型PaperLabを秋に発売

乾式オフィス製紙機「新型PaperLab」今秋商品化

 エプソングループは、環境への貢献を事業戦略の中核に据え、評価を高めている。省エネルギーセンターが主催する2023年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)で、ラインインクジェット複合機「WorkForce Enterprise」の「LM-C6000」「同C5000」「同C4000」が「資源エネルギー庁長官賞」を受賞。環境総合展「エコプロ2023」で初公開して話題を集めた乾式オフィス製紙機「新型PaperLab」を今年の秋には商品化するなど、環境に軸足を置いた戦略を加速させる。

 エプソングループでは「環境ビジョン 2050」で、50年に「カーボンマイナス」と「地下資源 消費ゼロ」を目標に掲げ、また「Epson 25 Renewed」では環境技術開発により、新たな環境ビジネスの創出に取り組んでいる。

 特に強みとする環境技術を生かした製品開発や環境分野で、優位性を持つベンダーとのアライアンスなどを強化している。

 セイコーエプソンが開発・発売し、エプソン販売が販売するラインインクジェット複合機「LMシリーズ」は、省エネ・低消費電力設計が最大の特徴。現在、主流となっているレーザー方式が熱圧着のため、エネルギーを多く必要とするのに対し「LMシリーズ」は、熱を使わないインク吐出技術(ヒートフリーテクノロジー)、高精度加工を実現するインクジェットプリンティング技術(PrecisionCoreプリントヘッドテクノロジー)を採用し、大幅な省エネ化を実現している。

 さらに、ノズルの高密度化による新ラインヘッドを採用し、搬送経路を最適化したコンパクト設計により、従来機種に対して設置面積を35%削減している。

 こうした省エネ技術が評価され、2023年度省エネ大賞の資源エネルギー庁長官賞の受賞となった。今月31日~2月2日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「ENEX2024」のアワードコーナーに展示を予定。初日には、省エネ大賞の授賞式も行われる。

 昨年12月のエコプロ2023で、公開された乾式オフィス製紙機「新型PaperLab(プロトタイプ)」は、今年の秋には正式に発売となる。

 PaperLabは水を使わずに、繊維素材を用途に合わせた繊維化や結合・成形を行い、素材の高機能化を実現する同社独自の「ドライファイバーテクノロジー」技術を搭載している。16年に同技術を搭載して商品化した世界初の乾式オフィス製紙機「PaperLab A-8000」は、CO2排出量の削減や機密情報の処理などの観点から、官公庁・自治体や金融・証券・製造業などで多く導入されている。

 新型PaperLabは「本体サイズを小型化」「専用シュレッダーの導入」「結合剤に天然由来材料を採用/紙の繰り返し循環」を実現した。小型化により、利用シーンを広げられるほか、オフィスビル内や企業間、地域など複数拠点で使用済み用紙を専用シュレッダーで細断するので、本体が近くになくても、さまざまな場所から古紙を回収して再生できる。春から実証実験を行い、秋に商品化に踏み切る。

 エプソン販売では、パートナーやベンダーと連携、脱炭素をサポートするサービスなどに注力する。