2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く 東陽テクニカ 高野俊也社長

高野 社長

計測センター活用でEMC事業を拡充

 東陽テクニカは「情報通信」「機械制御/振動騒音」「物性/エネルギー」「EMC/大型アンテナ」「海洋/特機」「ソフトウェア開発支援」「ライフサイエンス」「情報セキュリティ」の8事業セグメントを手掛ける。

 2023年9月期は物性/エネルギー事業が前期比9.6%増と想定を超える売上高を記録。高野俊也社長は「しばらくは電池などエネルギー分野の開発投資が続く」と話す。

 注力してきたM&Aの取り組みが、昨年から相次いで成果として現れてきた。

 ライフサイエンス事業では、整形外科領域で術前計画を3Dシミュレーションするソフトウエアを開発するレキシーを子会社化。東陽テクニカは2Dシミュレーションソフトを販売しており、レキシーと合わせてこの分野でトップシェアを占める見込みだ。

 スウェーデンのRototest(ロトテスト)社はハブ結合式シャシーダイナモメーターの開発製造メーカー。代理店として同社のシャシーダイナモメーターシステムを販売してきたが、昨年、子会社化した。先進自動車開発向けに同システムとレーダーやカメラのシミュレーターなどを組み合わせた東陽テクニカオリジナルの統合システム「DMTS」を拡充し、さらなる展開を図る。

 今月、EMC試験や校正を受託するトーキンEMCエンジニアリングを子会社化し、社名を「東陽EMCエンジニアリング」に変更した。高野社長は「EMC事業は当社の主力事業の一つ。当社のシステムと組み合わせて両社の知見を共有し、より信頼性の高い計測手法を採用したシステムやサービスを提供できる」と買収の意義を説明する。

 国内3カ所の計測センターを活用してEMC事業を拡充していく。将来的には測定データを活用したビジネスも発展させていきたい考えだ。24年も引き続きM&Aによるシナジー発揮実現に向けた取り組みに注力する。

 R&Dセンター(東京都江東区)を新設し、技術開発や実験、検査、修理、校正などのサービスと物流の機能を集約した。実車EVの充電試験ができるラボも備え、今後、エアモビリティーなどにも展開可能な電池評価のビジネスをさらに発展させていく。