2024.02.06 【コネクター特集】製品別動向 モバイル端末用コネクター

小型ウエアラブル機器向けの嵌合高さ0.5ミリメートル・端子間ピッチ0.3ミリメートル電源端子付き基板対基板コネクター

5G端末の高機能化に対応

AR端末などにも照準

 コネクターメーカー各社は、スマートフォンやタブレット端末などの高機能携帯端末や、ウエアラブル機器、AR/VR端末などに照準を合わせた小型・高性能コネクターの開発に力を入れている。

 世界のスマホ市場では、5G端末へのシフトが年々進み、端末の高機能化が進展している。ハイエンド分野では、ミリ波対応スマホの市場も徐々に本格化していくことが見込まれる。5G化による端末の高機能化は、接続ポイント数を増大させ、同時に、端末内部の高密度実装化が一段と進むことから、内装コネクターへの小型・薄型化要求は一層強まっている。電流容量増大への対応やノイズ対策、インターフェース系では完全防水性能へのニーズも強い。

 コネクター各社は、これらのニーズを踏まえ、次世代ハイエンドスマホ向けの内部接続用やインターフェース用、大電流対応コネクターなどの製品開発を活発化させている。

 内部接続用では、基板対基板コネクターやFPC接続用コネクターの一層の小型・低背化・省スペース化が進む。基板対基板用は、0.4/0.35ミリピッチなどのファインピッチ品のバリエーション拡充が進み、嵌合(かんごう)高さ0.5ミリメートルの超低背構造の0.4/0.35ミリピッチ基板対基板コネクターなどが開発されている。よりファインピッチの0.3ミリピッチ基板対基板コネクターも一部の高級スマホなどで実用化されている。

 FPC接続用は、0.3ミリピッチFPCコネクターの低背化や省スペース化追求とともに、より狭ピッチの0.25ミリ/0.2ミリピッチ品開発も進展。千鳥形状の0.175ミリピッチFPCコネクター開発なども進んでいる。

 5Gスマホ向けでは、マルチRF対応の基板対基板コネクターによる、セットの小型化と生産性向上などが提案されている。

 最近のハイエンドスマホは、内蔵バッテリーが大容量化し占有面積が増加しているため、バッテリー以外の搭載部品への小型化要求は一層厳しさを増している。コネクター各社は、基板対基板コネクターの狭ピッチ・低背・省スペース化を追求しつつ、接触信頼性、機械的強度、作業性などで高い性能を備えた新製品設計に全力を挙げている。

 デジタルインターフェース用コネクター開発では、急速充電用給電規格への対応や、USB4(最大データ転送速度40ギガbps)/USB4バージョン2.0(同80ギガbps)などの高速通信規格に対応した製品開発が進んでいる。

 大量生産が必要なスマホ用コネクタービジネスでは、高度な自動化生産技術も重要な要件となる。

 高機能ウエアラブル機器用では、スマートウオッチやワイヤレスイヤホン、AR/VR端末、スマートリングなどの内部接続用に、超小型で高強度・高性能なコネクター開発が進んでいる。スマート衣料のスマートテキスタイル向けコネクターの製品展開などにも力が注がれている。