2020.04.30 オープンデータの活用盛ん 行政の情報、民間利用でより良い社会に

写真1 迅速な対応で称賛された台湾の〝マスク在庫マップ〟。28日の台北市中山区のようす

写真2 福井県のマスク購入券(福井県Webサイトから)写真2 福井県のマスク購入券(福井県Webサイトから)

写真3 福井県でマスクを販売している〝ゲンキーマップ〟写真3 福井県でマスクを販売している〝ゲンキーマップ〟

写真4 odp対応アプリ。自治体での採用が進んでいる写真4 odp対応アプリ。自治体での採用が進んでいる

 オープンデータの活用が盛んになってきた。行政が持つ情報をWebで公開し、民間が利用して、より良い社会を創造する活動が国内外で推進されている。

 1月15日に新型コロナウイルスを隔離措置ができる「指定感染症」に定めた台湾の蔡英文政府は、2月22日に〝マスク国家隊〟を結成。サージカル(医療用)マスクの生産増強および輸出・転売禁止、マスクの買い上げ、購入実名制を実施した。世界トップの対策と注目を集めている。

台湾マスク在庫マップは大人/子ども用が一目瞭然

 台湾のデジタル政策担当の唐鳳(オードリー・タン)無任所大臣による、オープンデータを活用した〝マスク在庫マップアプリ〟は神対応と称賛された。

 写真1は28日午前の台北市中山区北案路周辺の薬局のマスクの在庫を示していて、大人用、子ども用の在庫が一目瞭然だ。

 扱い品の在庫をリアルタイムで登録しているデータをオープンデータとして活用している。

福井県がマスク購入券配布を開始

 福井県は、県内全世帯にマスク50枚入り2箱までの購買をあっせんする〝マスク購入券〟(写真2)の郵送を23日に開始。県内のドラッグストアチェーン〝ゲンキー〟64店舗で購入券と引き換えにマスクを1箱2350円で買えるサービスを24日に始めた。

 購入券の郵送は30日に完了予定。5月10日に販売を終える計画だ。

 県では「マスクは徐々に入荷され、ピークは30日以降になる。より多くの方が購入できるよう5月4日までは1箱のみの販売だが、県民の皆さまが安心して購入できる数量60万箱を確保している」とアナウンスする。福井県の世帯数は28万9000。この動きもネットでの評価が高い。

オープンデータ活用先進県福井

 スピード対応の背景には、はがきを購入券として使い、宛名を〝福井県民の皆様へ〟とするなど、柔軟な発想と行動力がある。調べると、福井県は10年からオープンデータ活用に取り組む先進県。

 福井県鯖江市の牧田泰一情報統括監と福井県の藤原匡晃情報化主事がまとめたリポート「官民一体のオープンデータ利活用の取り組み:先進県・福井、データシティ鯖江」によると、オープンデータを「誰もがより豊かな社会実現に向けて行動するために必要なインフラである。10年12月、一色正男慶応大教授(当時)と鯖江市の福野泰介jig・jp社長が牧野百男鯖江市長と面会し、行政が持つ情報をWeb公開して民間が利用するオープンデータ化の提案をしたことが契機」と説明している。

五つ星オープンデータプラットフォーム無償提供

 〝データの伝道師〟とも呼ばれる福野社長は先週、福井のマスク配布情報を見える化した〝ゲンキーマップ〟を公開した(写真3)。

 オープンデータ推進活動では、jig・jpグループとして、エクセルだけで付加価値の高い〝五つ星オープンデータ〟を公開できる〝オープンデータプラットフォーム(odp)〟(写真4)の普及促進も行っている。

 〝odp〟のデータは、https://odp.jig.jp/で無償提供され、多くの自治体や企業に利用されている。

 コロナ禍を機に、誰もが簡単に取り組めるオープンデータの活用に拍車がかかりそうだ。