2024.04.11 パナソニック、循環経済実現へ施策強化 家電購入後のサポート拡充

ドラム式洗濯乾燥機のクリーニングなど長く使ってもらうサービスを拡充ドラム式洗濯乾燥機のクリーニングなど長く使ってもらうサービスを拡充

10日午後、都内で会見する宮地氏10日午後、都内で会見する宮地氏

 パナソニックは、家電領域で循環経済(サーキュラーエコノミー)実現に向けた施策をもう一段加速する。2023年に本格的に始めたインターネットに接続するIoT対応家電の対象範囲を拡大するとともに、家電購入後の接点づくりと支援を拡充する。10日からメーカー再生品(リファービッシュ品)の販売領域を拡大し「パナソニック・ファクトリー・リフレッシュ」と命名して展開する計画で、家電利用の裾野を広げていく。これまでの販売から、販売後の利用、サポート、廃棄までの循環をさらに充実させる。

 23年4月に始めた、購入後の満足度を高める支援施策をさらに拡充する。10日に東京都内で会見した執行役員コンシューマーマーケティングジャパン本部長兼くらしアプライアンス社副社長でパナソニックマーケティングジャパン社長の宮地晋治氏は「購入後の体験価値を高めることで、家電を長く使ってもらう循環型の環境をつくっていく」と述べた。

 購入後の保証から、購入した家電の使いこなし、メンテナンス、サポートまで一貫して対応する体制を強化するとともに、再生の部分も強化し、顧客満足度を高めながら循環型経済の実現を目指す。

 既に始めているIoTに対応した家電の延長保証サービスは、23年度末に対象機種が7カテゴリー約500品番まで拡大し約900万のお客とつながるまでになった。地域限定でスタートしたIoT接続サポートは23年12月から大型家電の取り扱いも始めており、「今後順次エリアを拡大していく」(宮地氏)。

 購入後の家電の使いこなしに関する領域では、スマートフォンなどへ家電の利用状況に応じて手入れ情報などを通知する機能を充実させる。これまでのエアコンに加え、ドラム式洗濯乾燥機では排水トラブルが起きる前に通知するようになるほか、冷蔵庫の定期リポートも提供する。5月にはエアコンのクリーニング時期を知らせる機能のトライアルも始める。

 メンテナンス領域ではエアコンのクリーニングサービスに加え、5月から関西地区でドラム洗のヒートポンプユニットのクリーニングサービスを始める予定だ。クリーニング後は2年間のアフターサービスもパックで提供する。

 同社は年間3300万件の問い合わせを受けており、宮地氏は「この接点が安心安全に家電を使ってもらえる信頼になっている。購入後のアプリなどで家電に新たな価値を提供できるとみている」と強調した。

 10日から、メーカー再生品の事業を本格化する。20年から提供している家電の定額利用サービスが23年度は前年比2倍の契約となるなど利用が拡大している背景もあり、今回、定額利用サービス拡大の一環としてメーカー再生品の事業を拡充。パナソニック・ファクトリー・リフレッシュの新名称で、10カテゴリー製品で展開していく。

 今後は、より長く使い続けられる機能をさらに充実させる。エアコン「エオリア」には3年間で集めた3万件超のデータを使った快適な自動運転機能を24年モデルに搭載するほか、22年から進めているヤマト運輸と協業した音声通知のサービスに続く他社協業にも取り組む。

 次世代ファミリー向けのコンシェルジュサービス「Yohana」との連携も検討する考えだ。