2024.07.08 【記録計・データロガー特集】共立電気計器  「KEW 5050」、Iorを200ミリ秒で4系統記録

Ior漏電監視ロガー「KEW 5050」

 共立電気計器のロガー「KEW 5050」は、Ior(対地絶縁抵抗漏えい電流)を監視する。

 漏れ電流は大きく分けて、絶縁不良によるものと対地静電容量によるものの2種ある。この静電容量成分による漏れ電流はIocと呼ばれ、通常のリーククランプメーターでは絶縁不良による成分(Ior)と判別できない。

 漏電遮断器は数十mAレベルで漏れ電流を監視し回路を遮断。そのため、発熱しない安全な漏えい電流のIocでも誤作動する場合があった。

 近年、インバーターなど直流に変換する機器が増加し、高調波による静電容量成分の漏れ電流の増加が課題となっている。

 Ior漏電監視ロガーは静電容量成分と絶縁不良による危険な漏電を分けて測定できる。

 漏電遮断器が動作すると、電気管理技術者は配線や機器によるトラブルか、静電容量成分によるものか原因調査が求められる。

 KEW 5050では高速サンプリング(24.4マイクロ秒)を行い、FFT(高速フーリエ変換)で200ミリ秒ごとに実効値演算を行った測定・ロギングが可能だ。高精度で内部演算してノイズや高調波成分を完全に分離できる。

 測定場面に合わせてクランプの口径を選べるのも特長で、直径40ミリメートルと68ミリメートルの2種を用意した。最大4系統同時に測定・記録し、漏れ電流の箇所を特定するため多数の系統を同時に評価したいニーズに応える。

 発生した漏れ電流を打ち消し合う三相4線がメインの海外に比べ、三相3線方式が多い日本ではIorが問題になりやすい。S相の静電容量成分がないためバランスが崩れて漏れ電流成分が生じるためだ。

 測定の有効性が認知されるにつれ従来のIoではなく、Iorで評価する需要が高まっている。KEW 5050は漏れ電流で絶縁を管理する需要が高い韓国などの海外でも使用が進んでいる。

 ロガーとしてだけでなく、通常のクランプメーターとしても多く活用されている。本体とクランプ部が分離しており高所や狭い所での測定にも適している。