2024.07.30 【家電流通総合特集】地域店 自治体の省エネ補助金活用継続
補助金制度の対象が広まっている(ファミリー電気商会大津店)
買い替え促進や認知度向上へ
顧客にしっかり説明
エネルギー価格の高騰への影響の軽減と温室効果ガスの排出量の削減を目的に、全国の自治体で省エネ家電の購入を支援する補助金制度が実施されている。毎年継続的に行っている自治体もあり、複雑になりがちな申請書類の提出を慣れた作業でサポートする地域店の姿も見られる。最近では特殊詐欺への被害を防ぐ機器や社会的弱者をサポートする補助制度も拡大。地域店の活躍の場が広がっている。
東京都では、省エネルギー性能が高いエアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具に買い替えた都民へポイントを付与する政策を推進。2019年からスタートし、毎年事業が継続している。東京都の登録を受けた「東京省エネマイスター店」に認定されているまみねでんき(東京都品川区、小谷野敬子社長)は、地域からの依頼で塾や小学校で学生に向けて省エネの説明を行い、省エネの認知度向上と省エネ商品の買い替えを働きかけている。同事業の補助金活用も働きかけ、小学生たちに職業体験の一環としてLED照明の販売呼びかけを行ってもらい、補助金を活用した販売にもつなげる。
小谷野社長は「呼びかけを行ってきたことで、当店で購入して還元されたポイントや商品券を持ったお客さまだけでなく、他店で購入したお客さまも来店してくれるようになった」と話す。
大分県国東市では昨年度に続いて省エネ家電の補助金が4月からスタート。対象家電はLED照明器具(LED電球を含む)、エアコン・冷蔵庫、給湯器(太陽熱温水器を含む)。補助対象経費は上限額が各商品であるものの3分の1。
同市にある萱島電化販売(萱島和行社長)ではエアコンと冷蔵庫が好調だ。太陽熱温水器などで今回は新規取り付けも可となっている。高齢者が多いため、申請はほぼ代行しているが、今年度は印鑑が不要になり、記入書類は2枚だけと昨年度より煩雑さは減ってきている。迷惑電話対策で、電話機も市からの補助金があり、1万円支給される。電話機は古いものをそのまま使っている家庭が多く、補助金をきっかけに買い替えが薦めやすくなっている。
ファミリー電気商会大津店(神奈川県横須賀市、高橋繁一社長)は、横須賀市が5月から実施している「迷惑電話防止機能付き電話機等購入費補助」を適用し、固定電話機を6台ほど販売している。
佐藤大佑主任は「高齢のお客さまが、遠くに住んでいる子どもに『心配だから迷惑電話防止の機能を付けて』と言われ、当店に電話で相談をくださる」と話す。購入補助費の適用には、申請者が70歳以上や、5000円を上限に購入金額の2分の1の補助という条件のため、モニター付きドアホンと連携できる電話機よりも、最も手に入りやすい価格の電話機が人気だという。