2024.10.29 船井電機、来年7月に債権者集会 負債総額469億円

 24日に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた船井電機の債権者集会が、東京地裁中目黒庁舎(東京都目黒区)で来年7月2日に開催されることが分かった。

 東京地裁の破産手続き開始通知書によると破産管財人は片山英二弁護士、破産債権届出期間は11月28日まで。民間信用調査会社である帝国データバンクの調べでは、申請時の負債総額は債権者約524人に対し、約469億6482万円。

 同社は、1951年創業の船井軽機工業のトランジスタ部門を分離し、61年8月に設立。トランジスタラジオの製造・販売を皮切りに、ホームステレオなどの音響機器や、テレビやビデオなどの映像機器、プリンターやインターネット情報端末などの情報通信機器へと事業の幅を広げてきた。OEM(相手先ブランドでの製造)メーカーとして北米市場をはじめとする海外を軸に事業を展開し、業績を拡大してきた。

 国内では、家電量販店の国内最大手ヤマダホールディングス(HD)に「FUNAI」ブランドの液晶テレビやブルーレイレコーダーを独占的に販売。99年2月に大証2部、2000年3月には東証1部、大証1部にも上場していた。DVDレコーダーなどデジタル関連機器の販売が伸びた05年3月期で売上高は約3535億9200万円を計上していた。

 しかし、08年のリーマン・ショック以降は北米で販売不振が続いたほか、中国テレビメーカーの台頭による値下げ競争が激化。売り上げの減少や液晶パネル価格の高騰などもあり、営業赤字が常態化していた。同時に米国やメキシコ子会社で不適切会計が発覚するなどガバナンス面にも問題が生じていた。

 こうした中、21年5月に秀和システムホールディングスによる株式の公開買い付けが成立。23年3月には船井電機・ホールディングス(HD)が主要事業を承継していた。

 しかし、買収した脱毛サロンチェーンのネット広告代金の未払いで、船井電機HDが連帯保証を行っていたことが明らかになり、グループ全体で信用不安が拡大。立て直しの見通しが立たなくなった。