2024.12.16 「創業地生まれ“デジタルの申し子”」 日立新社長に德永副社長、来年4月1日付

会見に臨む德永副社長

記者からの質問に笑顔を見せる場面も記者からの質問に笑顔を見せる場面も

 日立製作所は16日、德永俊昭副社長(57)が2025年4月1日付で社長兼CEO(最高経営責任者)に昇格する人事を発表した。小島啓二社長兼CEO(68)は副会長に就任する。同日、東京都内で会見した德永氏は「世界中の社員と力を合わせ、デジタルをコアとする『One Hitachi』でグローバルリーダーを目指していく」と語った。

 德永氏は茨城県日立市の出身。父親も日立製作所に勤めるなど、「幼少期から日立グループのサービスを受けながら育ってきた」(德永氏)。デジタル畑の経験が豊富で、次期中期経営計画を実行し、デジタル中心の事業を加速するために次のバトンを託された形だ。10月末に社長就任の打診を受けたという。

 会見に出席した小島社長兼CEOは「『デジタルの申し子』のような人。創業の地からやってきた大本命」と評する。

 世界規模でデジタル事業の拡大を目指す日立は、21年3月にデジタルエンジニアリング大手の米グローバルロジックを買収。約1兆円もの巨額買収を成功に導いたのが德永氏だった。「約1兆円という経験したことのないM&A(合併・買収)はビジネスパーソンとしての覚悟を醸成した」(德永氏)。

 井原勝美取締役会議長指名委員長は「日立のリーダーになる資質を試される環境はハードなものだが、長く険しいプロセスの中でもグローバルロジックを買収するなど成果を積み上げてきた」と述べ、「グローバルな成長をデジタルでけん引する社長兼CEOとして德永さんは経験、能力の上でベストだと確信している」と強調した。

 德永氏は17年、家電子会社の社長に就任。大きな成長が見込みにくいとされる国内家電市場だが、「(日立の)強いところ弱いところは認識している。パートナーと組んだり投資したりして成長するやり方はある。継続的に成長させていく」(德永氏)とした。

 「日立を変えることに恐れがない」(小島社長兼CEO)という德永氏は、継続的な変革を続け、デジタルを軸に「One Hitachi」を目指す方針だ。

 德永氏は「一人ひとりのOSを入れ替え続けていくことが必要。私自身が変革を推進していく覚悟だ」と語った。

 【プロフィル】德永俊昭(とくなが・としあき)氏 1967年3月15日生まれ。茨城県出身。90年3月東京大学工学部卒。同年4月日立製作所入社。2014年4月情報・通信システムグループ情報・通信システム社サービス事業本部スマート情報システム統括本部長。17年4月日立アプライアンス取締役社長。19年4月執行役常務サービス&プラットフォームビジネスユニットCOO/日立グローバルデジタルホールディングス社取締役会長/日立ヴァンタラ社取締役会長。21年4月代表執行役執行役副社長社長補佐(システム&サービス事業、ディフェンス事業担当)、システム&サービスビジネス統括責任者兼システム&サービスビジネス統括本部長兼社会イノベーション事業統括責任者/日立グローバルデジタルホールディングス社取締役会長兼CEO。24年4月代表執行役執行役副社長社長補佐(成長戦略、クラウドサービスプラットフォーム事業、デジタルエンジニアリング事業、金融事業、公共社会事業、ディフェンス事業、社会イノベーション事業推進、デジタル戦略担当)、デジタルシステム&サービス統括本部長(現任)。