2025.01.08 【製造技術総合特集】AMR
進化を続ける国産AMR
拡張性や柔軟性で注目
新規参入企業も相次ぐ
労働力不足への対策として、物流・製造業を中心に人から移動ロボットへの代替が加速している。
ロボットは搬送のみならず、工場・ラインシミュレーションソフトウエアやERP、MESなどのITシステムとつながり、工場全体の最適化・完全自動化などに不可欠なアイテムとなりつつある。
工場や物流の搬送自動化の手段として、AMR(Autonomous Mobile Robot=自律走行搬送ロボット)が注目され、新規参入する企業が相次いでいる。工場や物流などの分野で、既にAGV(Automatic Guided Vehicle=自動搬送車)が普及している。
AGVは磁気テープ・ランドマークなどに沿って走行し、障害物があると停止するが、AMRはルートテープ不要の誘導方式を採用し、搬送ロボットマップを基にガイド不要で自律走行し、人や障害物を検知して回避しながら走行する。
製造現場はレイアウトの変更が頻繁にあり、AGVであれば搬送用ガイドを引き直す必要が生じる。これに対してAMRは拡張性や柔軟性があり、今までAGVでは対応が難しかった少量多品種の製造ラインやレイアウトが頻繁に変わる工程、既存工場などにも導入が可能になる。
AMRはSLAM機能(移動体の自己位置推定と現場地図作成を行う技術)を搭載し、周囲の環境地図を作製し、自己位置を推定・自動で経路検索をしながら自動走行する。拡張性や柔軟性があり、SLAM機能により、実際の走行場所を走らせるだけで地図の自動作成が可能で、既存ラインへの導入も簡単で準備が短時間でできる。
タブレット画面の地図上で搬送先を指示するだけなので、現場での操作性にも優れている。進行方向に障害物を検知するとすぐに停止するため、人との協働も可能で、停止した後は状況を確認してから、自動復帰して回避走行する。地図にない障害物がある場合は、目的地までの別経路を自動で再探索する。
通信プロトコルを用いて稼働中の生産システムや製造ライン、外部設備との連携が可能になる。