2025.01.08 【製造技術総合特集】リニアコンベヤーモジュール

展示会でも注目を集めるリニアコンベヤー

次世代型搬送システム

現場の組み替えも簡単に

 リニアコンベヤーが製造現場の次世代型搬送システムとして注目されている。

 従来のベルトコンベヤーやローラーコンベヤーと比較すると、製造現場などでラインの組み替えの変更が出た際に簡単に対応できる上、設計の自由度も上がり、高速で高精度の搬送が可能となる。幅広い業界に適用できることから「次世代工場の搬送プラットフォーム」として注目されている。

 FAで利用されるリニアモーターの構造は、一般的な回転型モーターを直線状に引き延ばしたもので、磁石のN極とS極が交互に直線状に配置されている。このリニアモーターのコイル部分に電流を流すことで交番磁界を発生させ、磁気吸引力や反発力から直進方向の駆動力を得ている。

 リニアコンベヤーモジュールは、リニアモーターとスライダー、コントローラーをセットにしたモジュールタイプの搬送装置。リニアモーターによるダイレクト駆動と、磁気式アブソリュート位置センサーによる位置検出を採用し、従来のベルトコンベヤーやローラーコンベヤーに比べて高速での搬送と高精度な停止・位置決めを可能にする。スライダーで部品を搬送するほか、スライダー上での組み立て・加工にも対応する。

 ボールねじ駆動では、ねじ軸の固有振動である危険速度とDN値の制限がある。特にストロークに応じて速度を上げることが困難だが、リニアモーターではこのような制限がない。そのため、ストロークが長くても高速動作が可能。さらに非接触構造駆動で推力が発生するため、ねじ軸の回転や転動体の循環による振動が発生しないので低騒音・低振動を実現することができる。ボールねじなどで危惧されるグリースの飛散の問題もないことも特長だ。

 「スケールレスリニアモーターシステム」は、位置を検出するリニアエンコーダーを使用せず、駆動用のマグネットを磁気メモリーとして磁気センサーで読み取ることができる。リニアエンコーダーを使用しない分、製品コストを抑えることも可能。コストを抑えることにより、従来ラック&ピニオンやベルト駆動で構築されていた搬送用途にも幅広く使用できる。