2025.01.08 【製造技術総合特集】レーザー加工

レーザー加工への注目は高まる

新産業での需要広がる

新たな製造技術として注目

 EV(電気自動車)やロボットなど、新たな産業が拡大する中、新たな製造技術としてレーザー技術の応用が注目され、レーザー加工機の需要が広がりはじめている。

 レーザー加工は、気体や固体の電子が光(レーザー光)としてエネルギーを放出する現象を利用し、レーザー光をミラーやレンズで集光してエネルギー密度を高め、金属などのワーク(加工物)に照射して熱加工する。

 レーザー発信器は固体(YAG〈イットリウムとアルミニウムの複合酸化物の結晶〉、半導体など)、気体(CO₂、エキシマなど)、液体(有機色素など)があり、それぞれレーザー光の波長が異なる。

 レーザーの波長が小さいほど、レーザー光を構成する光子のエネルギーは大きくなるというように、波長が変わるとレーザーの種類が変わるだけでなく、材料がレーザーを吸収する割合などが変化する。

 CO₂(炭酸ガス)レーザーは、二酸化炭素を利用しているレーザーで現在、レーザー加工機で最も多く使われている。このCO₂レーザーは発振管内で二酸化炭素が窒素やヘリウムと混合し、エネルギー交換を行うことで放射される。レーザー光のエネルギー効率が高く、ヘリウムがレーザー光の状態を安定して持続させる特徴がある。CO₂レーザーの波長は9.2~10.8マイクロメートル程度。レーザー光の中で最も波長が長く、従来のアーク溶接や抵抗溶接、ガス切断といった金属などの加工方法に比べ高精度・高効率、高速タクトを実現する。

 YAGレーザーは、YAGを使った固体のレーザー。基本波長は1064ナノメートルで主に彫刻や溶接、マーキングに使用される。

 ファイバーレーザーは、光ファイバーを媒質に用いた固体レーザー。ファイバー内に光を閉じ込めているためエネルギー変換効率が高く、光軸ずれがなく、安定・高信頼・保守が容易にできる。波長は1064ナノメートルとなる。

 EVの普及に伴いモーターやバッテリーなどの銅加工において、光吸収効率の高い紫外領域の60~480ナノメートルの波長を用いる青色レーザーが次世代レーザー加工技術として開発・製品化が進んでいる。青色レーザーは赤外波長に比べ銅に対する吸収率が高く、特にEVモーター製造で多用される銅材料への加工に適している。