2025.01.08 【製造技術総合特集】主要各社の25年戦略 日本アビオニクス

竹内 社長

接合4工法生かし、最適な提案

 日本アビオニクスの業績は2019年度から黒字転換し、5期連続で増益を遂げている。竹内正人社長は「顧客価値経営を進め、お客さまに喜んでもらい、当社も利益を出して会社の成長につなげていく。ものづくり力、技術力、営業力の三つの融合が基本」と話す。24年度からは「アウトプットの最大化」をテーマに競争力のさらなる強化、組織の活性化を進めている。

 接合機器事業では、抵抗溶接、超音波、パルスヒート、レーザーの接合4工法を持つのが最大の特長となる。接合分野の市場は、自動車の電動化に伴い、電池・モーター・ハーネス関係は堅調。水晶デバイスの市況も回復傾向にある。SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の設備投資の活発化も見込まれる。

 円筒型組電池は、高速充放電やコスト低減のために、電池タブの材質をニッケルから接合しづらい銅合金に切り替える動きがある。同社は抵抗溶接機を提供し、安定した接合を促す。モーター組み立てでは、皮膜線のヒュージングに高出力抵抗溶接機を提案する。はんだ付けや被覆の除去工程が不要で生産性の向上が図れる。

 全固体電池やレーザーダイオードの分野に現有技術を応用する。水晶デバイス向けで採用されてきたシーム封止装置を適用。吸湿による性能低下、真空断熱による経年劣化などを抑制する。

 パワー半導体向けに開発した技術「ボイドレスはんだ付け」は、パルスヒートの瞬間加熱により高品質なはんだ付けを行い、超音波振動で酸化膜とボイド(気泡)を除去する。大気中での接合が可能で装置の簡素化によるコスト削減、時間短縮などによる生産性向上を促す。真空リフローに必要なギ酸や水素を用いず、安全で環境に配慮した手法となる。

 新技術を採用した特注機は既に販売しており、製品化による市場投入は3月を予定している。

 竹内社長は「機器のワイヤレス化や高機能化、通信の高速化や大容量化など、社会は大きく変化している。接合4工法を持つ強みを生かし、お客さまに最適な接合ソリューションを提案する」と述べ、便利で豊かな社会の実現に貢献していく。