2025.01.08 【製造技術総合特集】主要各社の25年戦略 日本精工

下村 執行役員

状態監視ソリューションを強化

 日本精工(NSK)は、同社のトライボロジー技術と製品設計・製造への深い知見を生かして、軸受やボールねじ、リニアガイドといった製品の開発を通じて、産業を支える産業機械や自動車、精密機器などの分野でグローバルに提供してきた。2021年には、風力発電、石油化学といった産業向けを中心としたコンディション・モニタリング・システム(CMS=状態監視システム)において30年以上の事業実績で知られる独ブリュエル・ケアー・バイブロ社をグループに加え、CMS事業を強化した。

 下村祐二執行役員産業機械事業本部CMS本部長は「当社は〝『変わる 超える』への挑戦〟を掲げ、新しい価値を生み出し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指している。その中で、予知保全を可能とし、省資源や省エネルギー、製品品質の改善などに貢献するCMS事業に注力する」と話す。

 24年は顧客の設備保全に対するCMS事業が加速した一年となった。1月には状態監視システムのラインアップにワイヤレスソリューションを国内市場に初投入。10月には高度診断AI(人工知能)と経験豊富な設備診断エキスパートが支援する状態監視ソリューションの拡充を始めた。

 設備保全には、故障が発生する前に定期的に保全する〝予防保全〟や故障後に保全する〝事後保全〟という考え方がある中、NSKは予兆を捉え、故障の発生を予知し、最適な時期に保全する〝予知保全〟に注力する。

 25年はシステムインテグレーターなどのパートナーとのビジネスエコシステム拡大で協力関係を強化する一年にしたいと下村本部長。「従来のデータ収集と蓄積から製品の異常の兆候を検知するだけでなく、高度診断AIと設備診断エキスパートによるリモートモニタリングに加え、軸受の設計などに関する幅広い知見と専門知識を活用して、現場の保全を支援していく。新たな協業を通じて加工・組み立て設備への状態監視ソリューションの組み込みなど、さまざまなセクターに向けた新しい価値を創造していく」とし、顧客企業が求めるESG経営やカーボンニュートラル、サステナビリティー、レジリエントなどに貢献する考えだ。