2025.01.08 【製造技術総合特集】主要各社の25年戦略 三菱電機
西本 事業部長
自動化による生産性向上実現へ
三菱電機は四つの重点成長事業を掲げており、「FA制御システム」が一翼を担う。FAシステム事業本部機器事業部は、回転機や配電制御機器、コントローラー、駆動制御機器、産業用ロボットなどをグローバルに提供し、自動化による生産性向上の実現に貢献している。
西本久浩FAシステム事業本部機器事業部長は「2024年度上期の受注は前年同期を上回ったが、半導体市況の回復遅れ、EV(電気自動車)シフト鈍化などの影響により期待したレベルではない。25年度は新製品を軸に成長シナリオに戻す」と説明する。
新製品として、リニア搬送システム「リニアトラックシステム」を投入する。曲線レールを含むものは国内メーカー初。展示会で産業用ロボットと組み合わせ、電池、電気・電子部品の組み立てでの活用を訴求してきた。出品により関心を集め、既に一部の顧客からは内示。正式なリリースで受注増を狙う。このほか制御系、インバーターで新製品を発売する計画だ。
今後の需要増を見据え、生産体制強化の投資を進めてきた。名古屋製作所の尾張旭地区(愛知県尾張旭市)では第一生産棟が25年上期に、第二生産棟が27年に稼働を開始する。
海外では、ベトナムのハノイ近郊に設立した合弁会社が1月から本格的に生産を開始。成長著しいインドではマハラシュトラ州に建設した新工場が23年12月から稼働している。
西本事業部長は「両国とも労働者の人件費は高くなく、人手による生産が行われているが、品質確保の観点から自動化のニーズは根強くある。そこをしっかりと押さえる」と話す。
デジタルツインによるシミュレーションや外観検査ソフトなどにAI(人工知能)を活用してきた。現在、コントローラーや駆動系製品などのプログラム制作には専用ツールが用いられているが、制作の一部を生成AIが担うことを見据え、基礎研究を行っている。
今後の事業方針について西本事業部長は「お客さまのグローバルな競争力の向上に対していかに貢献できるかを改めて重視したい」と述べ、製品やソリョーション提供により顧客のニーズに応えていく。