2025.01.16 【計測器総合特集】共立電気計器 倉本正道社長

倉本 社長

「まだ市場にないもの」ポイントに

 共立電気計器の2024年業績は堅調に推移した。長年の取り組みにより国内では安定したシェアを確保しており、中国の売り上げも堅調だった。

 現在、将来を見据え、社内体制の整備を進めている。倉本正道社長は「お客さまの思いを聞き出し、しっかりと商品化して上手に提供できるかが重要になる。それは縦割りの体制ではできない」と説明する。

 24年4月にマーケティング部を新設した。同部では製品の企画から生産体制までを全社最適の目線で統括する方針で、リードタイムの短縮を図る。

 ユーザーの裾野拡大を目指し、デジタルマーケティングを強化している。製品の説明書やカタログをデジタル化。対応言語は日本語、英語のほか、6言語を追加した。Webサイトも今春には6言語を追加する。昨年4月、ビデオ通話を介したオンライン相談も開始した。

 基幹システムの更新を踏まえ、生産システムを検討していく。倉本社長は「AI(人工知能)を含め、生産自体が大きく変わっていく流れがある。従来のモノづくりの枠とは違う視点で考える必要がある」と話す。

 製品開発では、使い勝手の良さや信頼性を最重要視する。さらに、「まだ市場にないもの」をポイントに置く。

 昨年、日本電設工業協会主催の「JECA FAIR 2024製品コンクール」において、三相コンセントテスター「KEW 4555BT」が東京都立産業技術研究センター理事長賞を受賞した。製品コンクール受賞は7回連続だ。

 昨年7月に発売したマルチファンクションテスター「KEW 6514BT」も22年の製品コンクールで中小企業庁長官賞を受賞したもの。竣工(しゅんこう)検査や保守・メンテナンスに必要な測定機能を1台に集約しており、電気自動車(EV)の充電設備試験にも対応する。

 今後の中長期的な取り組みについて、倉本社長は「次の時代のために、今は自分たちが変化することを重視する時期。当社の企業理念には『人の尊重』があり、そこに根差して新しい企業の形にしていく」と抱負を述べた。