2025.01.16 【計測器総合特集】アンリツ 濱田宏一社長
濱田 社長
DC関連好調 1.6TbE向け新製品開発へ
アンリツは、2024年度から新中期経営計画「GLP2026」(期間3年)がスタート。濱田宏一社長は「初年度の目標をクリアするために立てた計画は想定通りに進んでいる」と話す。
従来、業績はモバイルの計測需要に影響を受けてきた。濱田社長は「今の5G(第5世代移動通信システム)の需要は底に近い状況だが、補完できるビジネスが成長してきた。新たな市場を切り開き、事業を立ち上げた成果が出た」と手応えを述べる。
通信計測事業では、データセンター(DC)関連のモジュール測定需要が好調。AI(人工知能)専用の登場により需要は加速度的な伸長を示す。通信規格は400GbE(ギガビットイーサー)から800GbEへと高速化。話題として出始めた1.6TbE(テラビットイーサー)向けに新製品を開発していく。また、産業計測の強化として汎用(はんよう)計測器を通信以外の幅広い分野に拡販していく。提案力強化のために、昨年10月に教育機関「A-SKILLs(アスキルズ)」を開講した。
30年ごろの実用化が想定される6Gでは26年後半、27年から計測器需要が発生すると予測し、基礎研究を行っている。
食品業界向けに検査装置などを手掛けるPQA(プロダクツ・クオリティー・アシュアランス)事業は国内のシェアが高く、海外では米国が好調。今後は欧州でのシェアを高めていく。現在の検査技術をベースに医薬品市場向けに新製品を投入する。
環境計測事業の主な対象は新たなバッテリーの研究開発。EV(電気自動車)シフト鈍化の影響はなく、好調に推移している。
グループ会社で電源機器や情報通信機器などの製造・販売を手掛ける高砂製作所とは、工場の生産体制の効率化を図ってきた。マネジメント層や技術者を派遣し、技術面・営業面でサポートしている。
今年、創業130周年を迎えた。濱田社長は「当社は最先端の技術をいち早く取り込んできた会社。その精神がないと計測事業は成り立たない」と述べ、7月には技術力をアピールする技術展を開く。