2025.01.16 【計測器総合特集】東陽テクニカ 高野俊也社長

高野 社長

先進モビリティなど7分野に力

 東陽テクニカは2024年9月期で過去最高の売上高を達成した。25年9月期からは新中期経営計画「TY2027」(期間3年)がスタート。「先進モビリティ」「脱炭素/エネルギー」「情報通信/情報セキュリティ」「EMC/大型アンテナ」「海洋/防衛」「ソフトウェア開発支援」「ライフサイエンス+その他事業」の7事業セグメントを展開する。

 市場の拡大を踏まえ、先進モビリティは特に注力する分野の一つ。高野俊也社長は「新技術の導入が相次ぎ、計測ニーズが増えている。当社のビジネスの主力になる」と説明。脱炭素/エネルギーとともに、グローバルに展開していく方針だ。

 先進モビリティでは、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)開発向けにVILS(実車両とシミュレーション環境を連携する技術)ビジネスを拡大。エアモビリティービジネスとしてeVTOL(電動垂直離着陸機)関連の測定評価ソリューションを拡大し、認証試験サービスを立ち上げる考えだ。

 脱炭素/エネルギーでは、次世代型電池の開発、水素市場に向けて測定ソリューションを投入していく。24年3月には流体制御装置の製造・設置を行うエル・テール社を子会社化。水素関連の評価システム開発・販売の強化を図っている。

 高付加価値の提供では、リカーリングビジネスや自社開発製品の拡充を図る。

 海外事業では、米国や中国、欧州、アジアを中心にビジネスを強化。ドイツには自動車メーカーを主要顧客とし、新拠点を設ける計画を持つ。新拠点はスウェーデンの子会社であるロトテスト社の支店を設ける計画。自社開発製品の販売を強化、拡大していく。

 今回初めて長期ビジョンとして「BT600-2030」(期間6年間)を策定した。新中計は長期ビジョンの前半に当たる。

 高野社長は「25年は新事業の種まきの時期に当たる大事な年。積極的な投資を行い、27年に成果を出し、30年にはさらに花が開くイメージ」と説明し、事業拡大、売り上げ伸長の成長戦略を進める。配当方針では27年9月期に向け、10年連続増配を目指す。