2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 アイティフォー 佐藤恒徳社長
「デジタル金庫」拡大へ
教育分野でのBPOを推進
2024年は、キャッシュレス化のニーズが引き続き高く、決済クラウドサービス「アイリッツペイ」を中心とする決済システムが順調に伸びた。
老朽化を迎えた通信インフラの更新や新紙幣対応の特需もありIT需要は上向いている。国のガバメントクラウドの標準化対応も増えてきた。
アイリッツペイの無人販売用組み込み型決済端末と、自動販売機管理システムを組み合わせた自動販売機ソリューションを空港や高速道路のサービスエリアなどに導入する取り組みも進めている。24時間対応できるので人手不足が深刻な地方を支援できるほか、食品ロス解消にもつながるサービスだ。災害時は被災地でも活用してもらえると考えている。
デジタル社会の鍵を握るブロックチェーン(分散型台帳)を活用した「デジタル金庫」も熊本県庁での実証実験を終えた。貸し金庫と終活ノートを組み合わせたサービスで、生前整理事項やデータ受取人などをスマートフォンから登録できる仕組み。ブロックチェーンで保管するためデータ改ざんを防げるのが特長で、インターネットバンキングやスマホ決済での活用など複数の金融機関から引き合いが来ている。
24年度は、3カ年の第4次中期経営計画がスタートした。最終年となる26年度の売上高は280億円、営業利益は48億円をそれぞれ目標に掲げ、既存事業の拡大と新規事業の開拓を加速させている。
策定に当たっては、長期ビジョン「HIGH FIVE 2033」で掲げる33年度の売上高700億円、営業利益126億円の最終目標を見据えて、バックキャスト方式で数値目標を設定した。
社会課題を解決するソリューションの展開に加え、人材への投資が鍵を握るため、新卒採用を現状の30人から60人に拡大し、社内研修やリスキリング(再教育)も充実させる。
AIの活用は必須の取り組みだ。契約書のチェックなど社内での活用に加え、クラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「CXone」など、さまざまなソリューションに生成AIを組み込む取り組みも進めている。
25年は教育分野や学校関係で、問い合わせ業務の自動化を推進するほか、BPO(業務受託)サービスを本格化させていきたい。いくつかの新プロダクトも市場投入を目指している。
新年のキーワードは、「耐える」「持ちこたえる」を意味する「withstand」。新中計1年目であり、さらなる成長に向けた変革が求められる。変革には痛みや困難が伴うが、その先の大きな飛躍を信じている。