2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 NECネクサソリューションズ 木下孝彦社長
サービス標準化掲げる
NETグループとの連携強化
公共、民需とも市場は好調で、過去最高益となった2023年度を上回る受注が積み上がっている。特に中央省庁の外郭団体や医療機関などの独立行政法人のモダナイゼーション(システム最新化)の需要が伸びている。大型案件も獲得できている。主力サービスのクローバーネットは15年間連続でVPNマーケットシェア1位を獲得できた。
25年は、米国で政権が動き、韓国も不透明な中で、規制が緩和される部分と逆に強化される部分に着目する必要がある。ただ、政策転換はビジネスチャンスでもあり、しっかり対応していきたい。
流通サービス業は訪日外国人が増加し、ホテル向け予約管理システムで差別化を図れている。クローバーネットの多言語対訳支援機能を拡張し、需要の受け皿になっており、今後も拡大の期待は大きい。
ここ2~3年で収益性が低かった事業のサービス化を図り、成果が出始めている。25年はトップラインを伸ばしてモードチェンジしていきたい。
これまでリーチできていなかった東名阪以外の地域では、全国34社が会員のNEC情報サービス事業グループ(NETグループ)との連携を進めている。自治体標準化の次のビジネスとして、25年度以降は周辺業務のクラウド化も進むと見込んでいる。
NETグループと共に周辺業務の商材ラインアップを広げ、支援を拡大していきたい。
こうした連鎖戦略に加えて、コア戦略として、サービスを標準化して効率のいいソリューションをつくることを大きなテーマに掲げている。開発設計から運用まで標準パッケージとして提供し、スクラッチ開発の比率を減らしていく。25年度は具体的に推進する年にしたい。
人への投資も増やしている。システムエンジニアが学ぶ時間、議論の時間を増やしてスキルアップを支援している。25年度はジョブ型雇用に移行し、より高い専門性が求められるようになる。24年は人材難の中でも前年比3倍増の経験者採用ができた。
多様な人材獲得によって社内が活性化し、強いプロダクトを作って付加価値の高いサービスを提供していく循環につなげたい。
生成AIは、自社内で使ってみた成果を顧客企業に展開する「クライアントゼロ」の取り組みを進めている。
25年度、生成AIは人手不足の課題解決に向けた目玉になる。スピード感のあるスタートアップとの連携も検討していきたい。
今後NECネッツエスアイをNEC本体が完全子会社化し、当社との事業再編が進むことになる。両社の強みを生かすことによってビジネスの幅を広げ、相乗効果を高めていきたい。