2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 日立システムズ 柴原節男社長

生成AIの活用進める

継続してDXやGXを軸に

 デジタルトランスフォーメーション(DX)支援とグリーントランスフォーメーション(GX)の支援を掲げた中期経営計画も2024年度が最終年度になる。足元まで自治体情報システム標準化や企業のITモダナイゼーション(近代化)案件が順調に推移している。24年度上期は自治体クラウドへの移行案件に加え、企業向けで27年にサポート終了するSAPのERP(統合基幹業務システム)の移行が旺盛で、売り上げ、利益ともに過去最高を更新した。人財採用とパートナー連携を強化したことで対応できたとみている。

 DXの支援では、自治体向け、企業向けともに、ビジネス&クラウドサービス事業グループが軸となりデジタル化を進めてきた。ガバメントクラウド移行に向けては現場のシステムエンジニア不足解消に向けた支援も開始。自治体向けは25年にかけピークを迎えるため、確実に対応していく。企業向けは生成AIを活用した保守業務支援に取り組み始めた。当社が進めてきたIT機器の保守業務の年間130万件のナレッジを活用し保守エンジニアの技術継承と業務効率化を行うもので、今後は日立グループ内外へ提案していきたい。

 GXは想定よりも動きが遅いが着実に進んできている印象だ。22年からパーセフォニー社と協業し炭素会計プラットフォームの提供を始めるとともに、国が認証するJ-クレジット創出のためのプロジェクトも進む。当社自身の脱炭素化とともに24年は久万造林と協創や宮城県女川町と森林調査の実証も始めている。引き続き一歩一歩進めていきたい。

 海外事業の改革も進んでいる。国内はIT運用も含めたマネージドサービスが定着している半面、海外は物販が中心になっていた。この一年で経営刷新を行い、サービスを含め提案できる体制にしてきた。営業利益率も5%以上になっているため10%以上まで伸ばしていきたい。あわせてグローバルで展開するSOC(セキュリティー運用センター)サービスも拡張させる。海外グループを含め日立グループのセキュリティー対応を当社で支援していきたい。POC(実証)も始めており、さらに広げていく。

 2024中計は計画を達成できる見通しだ。次期中計はDXとGXを引き続き軸にしながら生成AIの活用を進めていく。日立グループで重視している、現場で働くフロントラインワーカーの業務をデジタルで拡張する施策を実行する上で当社が持つ技術やノウハウが重要な位置づけになる。GXはAIの拡大に伴いデータセンターの拡張が進むとみられ、環境配慮型のデータセンター構築と運用の支援が不可欠だ。GXを前面に日立グループ内外のデータセンターの支援にも取り組みたい。