2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 東芝テック 錦織弘信社長
スマートレシート推進
タッチポイント起点に事業拡大
当社は、世界の流通イノベーションにおいて中心的な役割を果たし、社会課題解決へ貢献していく「グローバルトップのソリューションパートナー」を目指している。2050年には、創業100周年を迎える。流通領域だけでなく、成長領域で新たな価値を創出し、社会課題の解決に貢献していく。
中期経営計画(2024~2026年度)では、持続的な成長の実現に向けて、事業基盤の収益力強化、新規事業の領域拡大、経営改革・人財強化・サステナビリティー強化などの施策に取り組んでいる。2024度上期の業績は、POSシステムおよび複合機の売り上げが増加したことや為替の影響などから増収増益で推移した。海外の市場環境など不透明なところはあるが、通期でも増収増益の見込みだ。
当社は、グローバルトップのソリューションパートナーを目指すため、ハードからソリューションへのシフトなどアセットライトな経営への変革を目指している。この考え方に基づき、昨年はリコーと複合機の生産・開発会社「エトリア」を予定通りスタートした。また、理想テクノロジーズにインクジェットヘッド事業を承継した。
社会課題の解決として廃棄ロスの削減、CO₂の削減、紙資源の削減、人手不足対応が求められている。昨年、電子レシートサービス「スマートレシート」の会員数が200万人を突破した。スマートレシートは、サステナビリティーにも大きく貢献している。23年度は、約5600万枚の紙レシートを削減した。
全国で1年間に消費されるレシート用紙の量は135億枚、販売されるレシートの長さは地球378周、金額は960億円というデータがある。フランスでは、23年8月から紙のレシート発行が原則禁止となっている。スマートレシート事業活動を通じて、サステナビリティーを推進していく。
当社の最大の強みは連結子会社66社、保守人員(国内約2000人、海外約3000人)、世界ナンバーワンのPOSシェア(約282万台)、国内約5割のPOSシェア、さらに世界で約140万台が稼働するMFP(複合機)などのタッチポイントを持っているところにある。強みであるタッチポイントを起点に、事業ドメインを拡大、データのバーティカルインテグレーションへの取り組みを強化する。
データビジネスを拡大していくため、AI(人工知能)/生成AIを活用して、POSデータを起点に業種を横断した課題解決を行う新会社「ジャイナミクス」を昨年10月に設立した。AIソリューション・サービスの企画、実行支援、POSデータ利活用を通じた購買行動の把握など行っていく。